新型フェラーリ プロサングエは見ても乗っても“跳ね馬”への期待を裏切らない!!! 将来生産分まで全て予約済みの4760万円のスーパーSUVに迫る
フェラーリの新型「プロサングエ」に乗って、小川フミオがニュージーランドをドライブ! スーパーカーブランドが手掛けた異次元のSUVで大自然のなかを疾走した。 【写真を見る】新型プロサングエの内外装(59枚)フェラーリとは思えぬ快適装備の数々をチェック!!!
ファントゥドライブ
フェラーリはなにを作っても、ひときわ輝いている。そう思わせてくれたるのが、初の4ドアで4WDのプロサングエだ。このモデルで2023年末、ニュージーランドを縦走した。 プロサングエがすごいのは、どれだけ乗っても「もっと乗りたい!」と、思わせてくれるところにある。 実際、私は、ニュージーランドで700km強走ったが、最後の目的地でクルマから降りるとき、「もっと乗りたいなぁ」と、思った。 なぜかというと、ドライブが楽しいし快適。しかも12気筒エンジンをフロントに搭載しているとは思えない身のこなしで、ファントゥドライブを与えてくれるのだ。 フェラーリは“SUV”という単語はけっして使わないが、ランボルギーニ「ウルス」、ベントレー「ベンテイガ」、アストンマーティン「DBX」といったモデルに興味ある人にとって、頂点に位置づけられるモデルであることは間違いない。 3000mmのホイールベースをもつシャシーに、6496ccV型12気筒エンジンと組み合わせた4WDシステムを載せ、全長4973mm、全幅2028mm、全高1589mmのボディをかぶせている。 12気筒エンジンは、フロントアクスルより後ろに、いわゆるミッドシップマウントされ、最高出力は533kW、最大トルクは716Nmと、圧倒的だ。
フェラーリらしい1台
私にとって最初のプロサングエ体験は、2023年2月。雪の積もるイタリアのドロミテで乗ったのが、最初だ。 9カ月ぶりにドライブしたのは、夏が始まるニュージーランド。季節的にはそうなのだけれど、雨に見舞われ、とても寒かった。外から車内に戻ると、なんと安堵したことか。 ニュージーランドの旅の出発点は、最大の都市、北島のオークランドから300kmほど離れたキンロック(Kinloch)なるリゾート地だ。まわりにあるのは、地名の由来になっている湖と丘と樹木だけ。羊と牛とゴルファーはたっぷりいる。 と、いっても退屈ではない。窓の外の景色は刻々と変わっていく。丘の形、木々の葉、時おり露頭して見える石……と、さまざまな要素があるからだ。 道も、広くはないが、おおむねよく整備されているし、なにより、くねくねとしていて走るのが楽しい。 プロサングエは、太いトルクと、正確なステアリングと、しっかりしたアクティブサスペンションシステムと、強力なブレーキと、スーパースポーツカーに必要はものがほとんどすべてそなえている。 車体のロールもピッチもヨーも嫌った、とサスペンションシステムの開発にたずさわったエンジニアの言葉どおり、路面の状況にかかわらず、乗っている人間の姿勢は終始ほぼフラット。 ガードレールもろくにないようなワインディングロードを走ったときの痛快さは、忘れられない。 ちょうど、ニュージーランドから東京へと帰る機内で映画『シャイニング』を久しぶりに観たら、冒頭でジャック・ニコルスンが乗るフォルクスワーゲン「ビートル」がえんえんとガードレールのない山道を走っている場面に出くわした。「まさにあれだ!」と、私は思った。 プロサングエは、ハンドルの正確さと、車体の反応の早さに加え、ブレーキ(立ち上がりがやや速すぎると思わないでもなかった)の強力さ、それにコーナーから脱出したときの鋭い加速性など、すばらしく出来のよいクルマだと、思わず笑顔になってしまった。 道幅が細かろうが、余裕ある車体のサイズだろうが、気にならない。ステアリングが正確で、動きが敏捷だからだ。こういうのを、真の意味でスポーツカーというのだろう。