国頭村比地区の浸水被害は100年に一度の大雨 「浚渫しても防げなかった」 沖縄県の説明に住民は…
沖縄県土木建築部は13日、11月の豪雨で浸水被害を受けた国頭村比地区で、氾濫した河川に関する説明会を開いた。県は開会中の県議会で補正予算を通し、本年度中にも比地川と奥間川の浚(しゅん)渫(せつ)工事に着手すると説明。区民からは、発災前に区が要望した比地川の工事が実施されなかったことに「県による人災だ」「もう県は信用できない」などの指摘が相次いだ。 【写真】「死ぬんじゃないかと…」2階のベッドまで迫る泥水 県河川課の職員が比地川の工事ができなかった理由について、県管理75河川のうち32河川で浚渫が必要と説明。財政的な制約も踏まえ「危険性や緊急性を判断し、優先順位を付けてやってきた」との立場を示した。32河川中13河川で工事実施中で、17番目の比地川は2026年度着手予定だった。 県は開会中の県議会で補正予算案が可決されれば、区の集落前を流れる比地川と背後の奥間川の浚渫を本年度中にも始めるとし「タイムラグがないように、業者とも調整している」と理解を求めた。 県北部土木事務所の仲本隆所長は今回の被害を重く受け止め、迅速な工事と今後の防災に努めると強調。その上で、下流で人の背丈以上に水が迫ったことや、河川の幅20メートルに対し浸水幅が100メートルを超えていたことから「今回の雨は100年に1度のこれまで経験したことのない記録的な大雨で、(仮に浚渫しても)防げなかったのではないかと考えている」と釈明した。 これに対し区民からは「もう比地に住むなと言っているのか」「100年に1度の災害に耐えられるよう(河川を)強(きょう)靱(じん)化してほしい」などの声が上がった。区民はこのほか、大雨時に河川の状況が確認できるライブカメラの設置や、有識者の意見も取り入れた防災計画の策定を要望した。(北部報道部・松田駿太)