プーチンを批判したロシア人記者を襲う、ロシア当局の「家族」を使った「卑劣すぎる仕返し」
「NO WAR 戦争をやめろ、プロパガンダを信じるな」...ウクライナ戦争勃発後モスクワの政府系テレビ局のニュース番組に乱入し、反戦ポスターを掲げたロシア人女性、マリーナ・オフシャンニコワ。その日を境に彼女はロシア当局に徹底的に追い回され、近親者を含む国内多数派からの糾弾の対象となり、危険と隣り合わせの中ジャーナリズムの戦いに身を投じることになった。 【写真】習近平の第一夫人「彭麗媛」(ポン・リーユアン)の美貌とファッション ロシアを代表するテレビ局のニュースディレクターとして何不自由ない生活を送っていた彼女が、人生の全てを投げ出して抗議行動に走った理由は一体何だったのか。 長年政府系メディアでプロパガンダに加担せざるを得なかったオフシャンニコワが目の当たりにしてきたロシアメディアの「リアル」と、決死の国外脱出へ至るその後の戦いを、『2022年のモスクワで、反戦を訴える』(マリーナ・オフシャンニコワ著)より抜粋してお届けする。 『2022年のモスクワで、反戦を訴える』連載第16回 『「プーチンならやりかねない」…国外脱出したジャーナリストとドキュメンタリー監督が語る、プーチンの「本当のヤバさ」』より続く
戦勝パレード
翌日、メディアグループの幹部とともに、わたしの仕事の計画を立てた。5月9日には赤の広場の戦勝パレードを伝える中継に出演しなければならない。 「今年のパレードは本当にペスト時代の狂宴みたいになるでしょうね」わたしは言った。 ホテルの部屋に戻ると、戦勝パレードのことを話すのはとても複雑だと考えた。ウクライナ人が地下室に避難している時に、ロシア人は自動小銃を掲げて赤の広場の石畳を行進する。ウクライナの子供たちが空襲警報のサイレンに震えている時に、ロシア人は打ち上げ花火をにこやかに見物する。今年のモスクワの戦勝パレードは、退廃の勝利になるだろう。 この77年の間に、ロシアはどのように戦勝国から侵略国になったのかを理解しようとした。わたしのウクライナ人とロシア人の祖父たちは、ファシズムに対して大祖国戦争の前線でともに戦った。彼らが今日まで生きていて、ロシアがウクライナを攻撃したと知ったら、孫であるわたしたちを呪っただろう。
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