山形のサクランボが大幅な収穫減、小さい実や収穫しきれないもの多く…出荷量が昨年比4割の地域も
高温などの影響で、今年のサクランボの収穫量が、山形県が当初予想していた1万2100トンを大幅に下回りそうだ。小粒なものが多いほか、生育が早まり収穫しきれなかったものもあるという。市場や観光サクランボ園にも影響が広がっている。(柏このか) 【写真】1粒10万円で落札された山形の最上級サクランボ
6月の高温、影響大
「高温が続き、県全体で出荷量が落ち込んでいる」。20日の山形県議会議会運営委員会で、県農林水産部の星里香子部長がサクランボの収穫状況を議員に説明した。業者からは「予定していた数を用意できず、贈答用の注文を断っている」などの声も届いているという。
「市場や観光関係者は既に注文を受けてしまっている。もっと早く状況を公表できなかったのか」と詰問する議員に、星部長は「生産者には逐一状況や対策を呼びかけているが、市場などには情報発信できていなかったというのが正直なところだ」と回答した。
同県は5月中旬、下旬の調査で、今年のサクランボの収穫量は平年比91%の1万2100トンになるとの見通しを発表していた。昨夏の高温により二つの実が一体となった規格外の「双子果」が多くなる影響はあるものの、この時点では一定の着果が確認されており、そこそこの収穫が見込まれた。
しかし、5月下旬~6月上旬に昼夜の寒暖差が大きくなり実の着色が進み、6月11日から暑い日が続いたことで、急速に生育が進んだ。サクランボの実は色づくと大きくなりにくいため、小さいままの実が増えてしまった。
昨年本格デビューした大粒の「やまがた紅王」は、商標を使うには横経25ミリ以上である必要があり、それ未満は「その他サクランボ」などとして低価格で流通することになる。
高級品種「紅秀峰」の収穫が早まったのも痛かった。収穫期は主力品種「佐藤錦」が11~17日、紅秀峰が18~25日と予想されていたが、県園芸農業研究所の記録では、いずれも13~16日に一気に最盛期を迎えた。このため、収穫しきれずに傷んでしまったものもあるという。