波乱の幕開けとなった「Vポイント」。楽天やドコモ、PayPayに迫れるか
CCCMKホールディングスは4月22日、既存の「Tポイント」(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)と、「Vポイント」(三井住友カード)を統合して「青と黄色のVポイント」を開始した。 【全画像をみる】波乱の幕開けとなった「Vポイント」。楽天やドコモ、PayPayに迫れるか 22日には統合を記念した新たなキャンペーンを発表したほか、Tポイントと旧Vポイントの統合機能、新しいアプリの提供を始めた。 しかし、三井住友カードの「Vpass」や「Vポイント」、スマホの画面提示でポイントが貯まる「モバイルVカード」などで障害が起きた。 三井住友カードは障害発生期間を「22日午前11時頃から23日午前3時ごろまで」としているが、23日正午現在もSNSなどではアプリがうまく表示できないなど、利用者からの声があがっている。 順風万端なスタートとは言えないVポイントだが、異なるポイント同士を統合してまで得られるものは何か。 22日の記者会見や競合他社の周辺状況から解説しよう。
貯まる・使える場所の多い「日本最大級」のサービス
前述の通り、新VポイントはTポイントと旧Vポイントを統合した新サービスで、それぞれのポイントのIDを連携することで合算できる。 貯まる方法は大きく2つ。Vポイント加盟店(従来のTポイントの加盟店)で物理的な「Tカード」やスマホアプリ等の「モバイルVカード」を提示した場合と、三井住友カードの対象カードでショッピングや投資信託等をした場合だ。 貯まった新Vポイントは1ポイント=1円相当で、同じくVポイント加盟店や、「VポイントPayアプリ(旧Vポイント)」のバーチャルカードにチャージするとVisa加盟店でも利用できる。 貯まる場所と使える場所の多様さが、新Vポイントの最大の特徴になる。 Vポイントを運営するCCCMKホールディングスは、2024年3月末時点で、Tポイントは1億2800万ID、旧Vポイントは2600万IDとしており、新Vポイントの単純合算の会員数は延べ1億5400万人で「日本最大級のポイントサービス」と称している。 今後、既存のTポイント加盟店も順次新しいVポイント加盟店のポップに切り替わる。ユーザーが使うアプリやサービス名もVポイント準拠のものになる。 ただし、目立つところでは、物理のポイントカードだけは「Tカード」の名称を継続する。 これは単純に「物理的にどうしようもない」ところもあるが、安易に変更しない理由を22日の会見に登壇したCCCMKホールディングス取締役の撫養宏紀氏は次のように答えている。 「Vポイントというサービスは、スマホへの登録を中心にしていきたいと思っている。クラシックのTカードに変わり、モバイルに登録しやすくなるカードというものを順次検討している」(撫養氏) また会見では、Vポイント加盟店でポイントカードの提示がなくとも、三井住友カードのクレジットカード等で決済さえすればポイントがダブルで貯まる仕組みについても言及があった。 「(時期未定だが)お客様にとっては優先順位の高いサービスになる」(撫養氏)とするなど、他の共通ポイントサービスにはない機能や特徴の開発を進めていく方針だ。
小林 優多郎