根室で「落石計画」、あす開幕
武蔵野美術大学名誉教授で、根室市出身の銅版画家池田良二氏(77)のスタジオでもある旧落石無線局跡を会場にした現代アートプロジェクト「落石計画」が、北海道根室市で7日開幕する。14回目のテーマは霧深い落石にちなんだ「霧界(むかい)/Unbound」。 落石計画は同スタジオを会場に2008年から、コロナ禍の3年の中止期間を除き、毎夏開かれている。同氏の教え子でもある愛知県立芸術大学教授の井出創太郎氏(58)と武蔵野美術大学教授の高浜利也氏(58)が実行委員会(委員長・池田氏)という形で実施している。 14回目の今年は、同計画に学生スタッフとして参加していた芦川瑞季さん(武蔵野美大大学院)、田中藍衣さん(愛知県立芸術大講師)、チョン・ダウンさん(版画家)の霧界にちなんだ3人が30~40作品を展示するほか、井出、高浜両氏による公開制作もある。 初日の7日は、ワークショップとして児童生徒、保護者らがアートブック作りを行う。落石をテーマに絵や模様を小さく描き、切って束ねて世界に一つだけのアートブックを作る。8日午後1時からは、国際芸術センター青森ACACの慶野結香学芸員を迎えてギャラリートークも行う。スタジオ公開は7~11日の午前10時~午後4時、入場無料。 落石無線局は1908年建造、29年にはドイツの飛行船ツェッペリン号と日本初の交信に成功するなど、多くの歴史の場に登場する。66年の無線局廃止後は廃墟となっていたが、85年から池田氏が改修に着手、スタジオとして使用している。