巻き返しを図る横浜ビー・コルセアーズ青木勇人HC、ブレない選手への信頼「河村選手が強烈だからこそ、森井選手も輝けます」(前編)
「河村選手が傑出していることでセカンドユニットの手綱を託すのは本当に難しい役割」
──河村選手以外の部分、チームオフェンスについてはどんな評価をしていますか。 まず、アシスト数がチームとしてそんなに伸びていないのは気になるところです。今は河村選手が相手ディフェンスを引き付けたところで、キックアウトでパスを出すターゲットがあまり定まっていないところがあります。そして3ポイントシュートの確率が悪い時、1対1からのシュートが増えてしまっています。それはこちらがピック&ロールを仕掛けた時、相手がほぼスイッチディフェンスをしてきて、この状況からうまく展開できていない問題があります。また、河村選手のドライブ以外でのペイントタッチが安定していないです。 そしてセカンドユニットの安定感はうちの強みで、昨シーズンはここで違いを生み出し最終的に勝ちに繋いでいけた試合も多かったです。だからこそ、森井(健太)選手をうまく生かしていけるかが、巻き返しのための大きな鍵になると思っています。森井選手のコントロールによって、セカンドユニットが存在感を示している時は、自分たちのプラン通りに試合を有利に進められている時が多いです。森井選手はアシストに対して、ターンオーバーが少ないのが大きな持ち味ですが、ここまでアシストが少なくてターンオーバーが多い試合がいくつかあるなど、本来の力を中々発揮できていません。(今シーズン絶望の大ケガを負った)シューターの大庭(岳輝)選手の離脱も影響していますが、彼のアシスト力を生かすターゲットが安定すれば修正できると感じています。 ──セカンドユニットの安定感でいうと、得点源だったウイングの森川正明選手が移籍した穴も大きいように感じられます。 全体的にウイング陣のステップアップはものすごく期待しています。松崎(裕樹)、西野(曜)、杉浦(佑成)がサイズのある3番ポジションとして争っているところですが、三者三様で少しずつ色が出てきているので、個性をもっと強烈に表現してもらいたいです。それがうまく表現できている時は、みんな自信を持ってプレーしていろいろな角度から相手にプレッシャーをかけられています。森川選手は素晴らしい選手ですが、うちのウイング陣も高いポテンシャルを持っています。 ──セカンドユニットは横浜BCの大きな強みですが、河村選手がこれだけ圧倒的な活躍をすると、バランスを取るのは難しくないですか。 少しずつ見えてきているところはあると思います。ここまで14試合戦ってきて、いろいろな対策を練られてきて、いろいろなことを試してきました。去年もそうやって少しずつ改善していくことで最後の形になりました。夏の間の日本代表での活躍を経て、河村選手がより強烈な存在としてチームに戻ってきました。だからこそ、その対面で森井選手もさらに輝けると思っています。 もちろん、河村選手が傑出していることでセカンドユニットの手綱を託すのは本当に難しい役割だと思います。その事について、2人で1回話しましたが、森井選手は「ものすごくやりがいがあります」と言ってくれています。どんな組み合わせがいいのか整理を進め、徐々にですが手応えも得ています。 ──ディフェンス面の評価を教えてください。横浜BCは堅いディフェンスを基盤とするチームですが、ここまで負けた試合では大量失点が目立ちます。 1つの大きな要因は、オフェンスがしっくりいっていないこと。オフェンスの終わり方が悪いので、ディフェンスをセットできずにトランジションや簡単な2ポイントでやられてしまうのが大量失点の原因です。良いシュートの形で終わればトランジション、ハーフコートともに強度の高いディフェンスができています。それを続けていくために、オフェンスの精度を高めていかないといけないです。
鈴木栄一