横浜流星「べらぼう」は「いい意味で大河ドラマらしくない」 同世代にも響く魅力
その一方で、蔦重は人間臭く情けないところもありながら「本来みながこう生きたいと思うような共感性が高い人物」だとも。役づくりにおいては、実際に蔦重が生まれ育った場所を訪れて当時の空気を感じたり、資料を読んだり、識者の意見を得たりさまざまな角度からアプローチしているという横浜。その一環として、日曜劇場「DCU」(2022)で共演し、2021年の映画『HOKUSAI』で同じ蔦屋重三郎を演じた阿部寛や、本作が6度目の大河ドラマ出演となる共演者の渡辺謙からアドバイスを得ることも。
「阿部さんがおっしゃったのは『流星らしく』の一言でしたが、その言葉には阿部さんのいろいろな思いが込められていると思うので、それをちゃんと汲み取って生きられればと思っています。謙さんとは、この作品の前に『国宝』(2025年6月6日公開)という映画で親子の設定でご一緒していて、その時に食事に行き、お話をさせていただきました。謙さんも僕と同じ年で大河ドラマの主演を務められたそうで、“とにかくまっすぐ全力でやればいい”と力強い言葉をいただいたので、その言葉を信じ、生きていけたらと。共演シーン自体は多くはないのですが、現場でも謙さんの佇まい、お芝居を見て学ぶことが多いので、その時間は大切にしています」
演じるうえでは特に所作や江戸言葉(べらんめえ調)に心を砕いているといい、「本当に難しいです。今回の作品ではこてこてな方言ではないですが、例えば『~でさァ』といった言葉のニュアンスだったり。普段使っている言葉ではないからこそ、馴染ませること、蔦重として話すことを大切にしています。監修の先生方の協力を得て落とし込んでいけたら」と初めて挑戦する多くに奮闘しつつも、長期間にわたって一人の人物を演じることは「贅沢なこと」と強調する。
「1年間というのはやはり贅沢。普段、いろいろな作品をやらせていただいても準備の時間が足りないなと思うことが多いので、その点においてはすごく幸せなことだなと思っています。僕は戦隊もの(2014年放送の特撮シリーズ『烈車戦隊トッキュウジャー』)をやらせていただだいたときにも1年半ぐらい撮影を経験し、そこで芝居の楽しさを知り、この世界にで生きていこうと決めたので、こうして10年経った今、また同じようなことをできることに何か運命を感じています」
演出陣からは「とにかく明るく」と言われるといい、「そこが彼の良さでもあるので大切にしていきたいですし、とにかく体力をつけようと。体が資本ですし、1年間走り切る体力をつけないといけないなと思っています」と力強く語っていた。(編集部・石井百合子)