東京国際映画祭「アジアを代表する映画祭に」 安藤裕康チェアマン語る
自身が肝いりで令和4年に14年ぶりに復活させた黒澤明賞。将来の黒澤明となるような若手監督らを顕彰している。「最近、海外の若者などで黒澤の存在を知らないという人たちが増えている。その国の巨匠を語り継いでいくことも映画祭の使命ではないか」
カンヌ国際映画祭でカメラ・ドール(新人監督賞)やグランプリを受賞し、同映画祭のコンペ部門の審査員を務めた河瀬直美監督の例を挙げながら、「河瀬さんはカンヌに見いだされ、カンヌで育てられ、世に出ていった。これも映画祭にとって大切な役割の一つ。東京国際映画祭もそんな場になってほしい」。
ただ、課題も残る。「協賛金を集めることが一番頭の痛い問題」という。今年は約10億円にかなり近づくまでに増えたが、カンヌ国際映画祭の予算規模は20億円を超えるとされる。「ヨーロッパの大きな映画祭に比べると半分ぐらいという感じ。まだまだ努力しなければならない」
■一般の人も来やすく
一般的な認知度も低いままだ。「今でも映画祭には映画関係者しか参加できないと誤解している人が随分といる。『一般の人も映画祭で上映されている映画のチケットを買えるんですか』といった声も結構聞かれる。一般の市民にも開かれた映画祭にしていきたい」
そのためには「映画祭に参加しやすい運営やチケットの売り方、玄人受けする作品だけでなく一般の人も楽しめる映画の上映といったことも含めて、ふらっと来やすい映画祭にしていきたい」と、来年の開催に向けて早くも動き出している。(水沼啓子)