レジに来た90代男性手には3万円分のプリカ「ウイルスに感染し解除に必要」コンビニ店員がとっさの判断で詐欺防止『ホットスポット』の汚名返上かけた大阪府警の「草の根活動」
大阪市内で特殊詐欺被害件数ワーストの城東区。コンビニの店員たちが、汚名返上の立役者になるかもしれない。
レジに来た男性に尋ねると「ウイルスに感染して、解除するために必要と言われた」
大阪市城東区にある「ファミリーマート城東えなみ店」。老若男女問わず客足が絶えないこの店で4月23日、ある事態が起きた。 「すみません…」。レジにおもむろに現れた90代の男性。持っていたのは、3万円分のプリペイドカードだった。その時、レジを任されていたパートの松阪有紀子さん(50)は、“違和感”を感じたという。「おじいちゃん、本当にプリペイドカードが必要なのかな」。 男性にプリペイドカードを購入した理由を尋ねた松阪さん。男性は「パソコンがウイルスに感染して、解除するために必要と言われたんです…」と話したところで、“違和感”に確信が持てた。「これはサポート詐欺だ」。 サポート詐欺とは、パソコンに突然ウイルス感染したかのような嘘の画面が表示され、その解除には代金をプリペイドカードなどで払うように要求する手口。松坂さんはすぐに110番通報し、男性はプリペイドカードを購入せずに済んだ。 事態から一か月後となる5月23日、大阪府警城東署は特殊詐欺被害の未然防止に大きく貢献したとして、松阪さんに感謝状を贈呈した。
大阪市城東区は被害件数が市内ワースト…被害の『ホットスポット』に
実は城東区、近年、特殊詐欺被害の“ホットスポット”となっているのだ。 去年、城東区内で発生した特殊詐欺の被害件数は大阪市内で“ワースト”となる73件(被害総額:約7900万円)で、今年も3月末時点ですでに17件、被害総は額3900万円と、市内でもワーストとなっている。 捜査関係者の1人は、「交通機関で市内中心部へ移動しやすい利便性が原因ではないか」と、その理由を分析する。
警官がコンビニ回る『草の根活動』汚名返上なるか
そこで、大阪府警城東署も対策に乗り出している。交番勤務の警察官が管内のコンビニを割り振って担当。警察官は担当となったコンビニを可能な限り巡回し、「おかしいと思ったら、すぐに110番を」などと店員に注意を促している。 その結果、松阪さんが特殊詐欺被害を防止したのと同じ日に、別のコンビニの50代の女性店員も「サポート詐欺」を見抜くなど、すでに、松阪さんらを含めた4人のコンビニ店員が特殊詐欺被害を未然に防止しているという。 「おまわりさんがよく来てくれるから、詐欺だとわかった。今後も警戒を続けたい」と話した松阪さん。複数のコンビニを“はしご”させる「サポート詐欺」が増加していることなどから、警察はワースト脱却の汚名返上に向け、さらに警戒を強めている。