フランス農業省は先週、国内のワイン生産が悪天候による影響を受けており、昨年から18％減少するとの見通しを発表した。西部ナント近郊にあるオーガニックワインの生産者は、今年の収穫量が80ー90％減少したと語った。 フランス西部の有名なワイン生産地で、ブドウ農家を営むヴァンサン・バルビエさんは、オーガニックワインを生産しているが、今年は苦い現実に直面している。激しい雨や冷害が相まって、ブドウ生産は壊滅的な被害を受けているという。 「農園の収穫量は80ー90％減少している。大惨事だ。言葉が出ない」 ナント近郊にあるバルビエさんの農園では通常、収穫のために20人ほど雇っている。だが今年は8人だけで、わずかに残ったブドウを収穫している。 「収穫は非常に複雑だ。ブドウの収穫量は、ごくわずかしかない。損失の大部分は、昨年末から今年にかけての気候によるものだ。記録的な降雨量で、長期的な累積降雨量は湿潤な熱帯地域を超えるほどだ。気温が異例に低いこともあった　収穫には大打撃な組み合わせだ」 実はウドンコ病で深刻な被害を受け、葉は暗褐色になり、菌類の影響で木が枯れた。 同様の状況が、フランス全土のワイン生産地でみられている。 農業省によると、降雨によりブドウ農園で病害がまん延。開花も遅れているという。同省は先週、今年の国内ワイン生産量の見通しについて、昨年比18％減となる3930万ヘクトリットルと発表。8月に発表された見通し4000ー4300万ヘクトリットルから減少した。1ヘクトリットルは100リットル、通常のワインボトル約133本分にあたる。 シャンパーニュやボルドー、シャラントといった仏国内の有名産地は全て、今シーズン、生産量の減少に見舞われている。 ワインはフランス最大の輸出品の1つだ。だが業界は国内消費の減少にも直面しており、最近では農家による抗議活動の要因にもなっている。