名門に逸材左腕 大阪桐蔭のスーパー1年生は防御率0・00
来春の第94回選抜高校野球大会の出場校を選考する際の参考資料となる全国10地区の秋季大会は終了した。各地区の優勝校が出場する明治神宮野球大会(20日開幕、神宮球場)を前に、東海、北信越、近畿の3地区で行われた大会を振り返る。 ◇静岡勢対決を制した日大三島 東海 日大三島が決勝で静岡勢対決を制し、初優勝を果たした。エースで4番の松永が攻守でチームをけん引した。力のある直球が持ち味で、初戦と準決勝の2試合を完投し、決勝は三回途中から登板して1失点の好救援。打者としても準決勝で満塁本塁打を放つ長打力を発揮し、打率6割、10打点をマークした。 準優勝の聖隷クリストファーは2回戦と準決勝で最終回に逆転するなど粘り強かった。打線はチーム打率3割5分7厘で、山崎や小出を中心に狙い球を絞るのがうまく、選球眼も良かった。エースの弓達がけがのため大会途中で離脱したが、制球に秀でた左腕・塚原が穴を埋めた。 4強の大垣日大(岐阜)は五島、山田渓の両投手に安定感があり、打線も中軸の振りが鋭かった。至学館(愛知)は計11盗塁と機動力が光った。【森野俊】 ◇エース兼4番がけん引し連覇 北信越 連覇を果たした敦賀気比(福井)は、エース右腕で4番の上加世田が攻守でチームをけん引した。全4試合に先発し、最速144キロの直球と多彩な変化球で的を絞らせなかった。決勝は被安打11ながら無失点と粘り強さも見せた。打者としても決勝で流れを引き寄せる適時打を放つなど「二刀流」として活躍した。 準優勝の星稜(石川)は、最速141キロ右腕のマーガードがスライダー、カットボールで緩急もつけ、2試合で完投勝利を飾った。右腕・武内、左腕・中山ら1年生の投手の成長にも期待がかかる。 4強の小松大谷(石川)は準決勝で敦賀気比から8得点。北村、吉田らが軸の打線は強力だった。同じく4強の富山商は攻撃が粘り強かった。日本文理(新潟)は準々決勝で敗れたが、力強い直球で押す本格派右腕・田中が光った。【木村敦彦】 ◇大阪桐蔭の1年生は防御率0・00 近畿 4年ぶりの頂点に立った大阪桐蔭は4試合で計2失点。1年生左腕・前田は直球の伸びが抜群で、計3試合に登板して防御率0・00。打線は2番・谷口の打率5割3分3厘を筆頭に3試合で2桁安打をマークし、強力打線は健在だった。 準優勝した県立の和歌山東は計8盗塁と走塁での積極性が光り、右横手のエース・麻田の打たせて取る投球もさえた。 4強の天理(奈良)は大会前に右横手に戻した南沢の安定感が増し、主将の戸井は準々決勝で本塁打を放つなど投打の軸がしっかりしていた。金光大阪は古川―岸本のバッテリーを中心に、接戦に強かった。直球に威力がある米田を擁する市和歌山、低めの制球力が良い森がいる東洋大姫路(兵庫)、2試合で17得点の近江(滋賀)、森下ら今夏の甲子園4強メンバーが6人残る京都国際が8強に入った。【藤田健志】