富士山「事前登録」対応に差 静岡県へ登山者流入懸念、山梨に比べ規制緩く
静岡県は29日、沼津市で開いた安全快適な富士登山推進会議で、今夏から県内三つの登山ルート(富士宮、須走、御殿場)で試行的に導入する事前登録システムについて説明した。山梨県が条例を制定して通行料や登山者の人数制限を設けるのに対し、本県は登山計画作成とルール・マナーの順守を呼びかける任意の制度になる。登山者が規制の緩やかな静岡側を利用する可能性もあり、本県は来年度以降、新しい入山管理方法を検討する考えを示した。 事前登録システムは登山日時やルート、山小屋の予約状況などをウェブ上で前もって入力してもらい、当日に駐車場や登山口でQRコードを使って認証する。弾丸登山や軽装、周囲の迷惑になるような行為は控えるよう動画を利用して啓発するという。 ただ、強制力はなく、今夏から1日当たりの登山者数を上限4千人とし、2千円の通行料を義務づける山梨県とは対応が大きく異なる。円安効果もあって外国人を中心に登山者増加が見込まれる中、山小屋経営者や交通事業者、市町関係者らが出席した推進会議では本県側のオーバーツーリズムへの懸念が相次いだ。 山梨県の吉田ルートは県有地だが、本県側の登山ルートは国有地などのため、独自規制が難しい。登山道も3ルートあり、すべての登山者から平等に通行料などを徴収できるか不透明な状況という。 静岡県富士山世界遺産課の大石正幸課長は「(通行料や税などの)利用者負担をどうするか、今夏の結果を検証してあらためて検討する」と話した。
静岡新聞社