甲斐キャノンの6500万円更改は安い?高い? なぜ捕手査定は難しいのか
ソフトバンクの甲斐拓也(26)が26日、福岡で2度目の契約更改交渉に臨みサインした。複数の報道による推定年俸は1度目の提示から1000万円増え計2500万円アップの6500万円でのサインだったという。 今季は111試合に先発マスクをかぶり133試合に出場した。自己最多である。盗塁阻止率は、12球団トップの.447を誇り、ゴールデングラブ賞に輝いた。 広島との日本シリーズでは、シリーズ新記録となる6連続盗塁阻止をマークしてMVPを獲得した。“甲斐キャノン”と呼ばれた強肩で広島の機動力を封じ込んだ守備が評価されての異例の受賞となった。 だが、シーズンの打撃成績でいえば打率.213、7本塁打、37打点、出塁率.274、得点圏打率.250で、試合途中から高谷裕亮(37)に代わる場面も多く規定打席にも達していない。打点はパ・リーグ全体のランキングで言えば37位、67本という安打数は43位というものだった。 打撃成績では、アピール材料がないため、甲斐は、捕手の守備貢献度についての再検討を訴えて一度目の交渉は保留。 捕手の守備査定が議論になった。 結局、守備面での貢献が再評価されて6500万円という数字に落ち着いたようだが、これは高いのか、安いのか。 ヤフーが11月19日から27日まで行った「甲斐の年俸はいくらが妥当か?」というアンケートによると、5474票が集まり、トップは30パーセントの1億円以上。2位が24.8パーセントの8000万円以上1億円未満で、今回の6500万円に相当する6000万円以上8000万円未満は23.4パーセントで3位だった。この調査結果は、すべての人たちの意見を集約したわけではないが、甲斐の年俸に関心のある人たちの意識としては「安い」という部類に入るのだろう。 おそらく“甲斐キャノン”と呼ばれた日本シリーズでの活躍が印象として強く残り、肩の抑止力、チーム貢献度をもっと評価すべきとの意見なのだ。 捕手として千葉ロッテで活躍、優勝したWBCでは“世界一捕手”として評価を受けた評論家の里崎智也氏は、「選手と球団のお互いが納得した時点で、それが適正年俸ということなんでしょう」と、今回の甲斐の6500万円の「安い」「高い」には言及しなかったが、捕手の守備査定については非常に難しいという意見を持つ。 「そもそもプロ野球の査定って結局、どんぶり勘定なんです。ヒット1本いくら、盗塁ひとつ刺していくらなんていう絶対的な年俸基準はありません。優勝したチーム、負けたチーム、球団の資本によっても査定基準も年俸は変わってきます。だから、こういう議論が出てきます。捕手の守備については、他人に左右されるものが多いですよね。リードは投手次第、盗塁阻止も投手のクイックを含めた共同作業です。他人に左右されないものは、キャッチング、ブロック、スローイングの技術しかない。そこを誰がどう評価できるんですか? ひとつひとつの送球がストライクだったか、どうかに査定をつけることは難しいでしょう。そう考えると、キャッチャーで高い年俸を勝ち取るには、打たないことには話にならないんです。日本だけでなくメジャーでも破格条件を勝ち取っている捕手は打っている選手です」 確かに過去に高年俸を勝ち取ってきた捕手のほとんどがタイトルホルダーや2000本安打達成者である。古くは野村克也氏が3冠王、古田敦也氏も首位打者タイトルをとり、谷繁元信氏も2000本安打を達成している。 今シーズンのベストナインの捕手部門も甲斐ではなく、西武の森友哉(23)で守備より打撃面が評価された。