【Playback箱根駅伝】第81回/駒大が4連覇の金字塔 順大・今井正人が衝撃の11人抜き
2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの) 第81回箱根駅伝総合成績をチェック
第81回(2005年/平成17年) 東海大が初の往路優勝 明大が14年ぶりの箱根路
11月の全日本大学駅伝を制し、4連覇へ向けて順風満帆だった駒大に対し、出雲駅伝優勝、全日本2位と1974年以来となる箱根制覇へ戦力が整っていた日大、そしてスーパールーキーの上野裕一郎を加えて出雲・全日本で3位につけた中大による優勝争いが予想された第81回大会。 大会前のコース再計測によって総距離217.9kmと従来よりも1.5kmも長くなったが、コース自体の変更はなかった。 予選会を経て、明大が14年ぶりに、拓大と専大が2年ぶりに本戦復帰を果たした一方で、前回出場校では東農大、国士大、関東学院大が予選会敗退を喫した。 1区では前回区間賞の日体大・鷲見知彦(2年)がレースを引っ張り、中大の上野裕一郎(1年)が何度も仕掛ける展開へ。上野は8km付近で早くも遅れだし、先頭集団は終盤にある六郷橋の下りで亜細亜大・木許史博(4年)がスパートし、そこにただ一人反応できた東海大・丸山敬三(3年)が区間賞を獲得。木許は8秒差で区間2位、鷲見がさらに6秒差で3位と続き、中大は先頭から3分31秒差の19位スタートと苦しい幕開けとなった。 2区では先頭でタスキをもらった東海大のルーキー・伊達秀晃がすばらしい走りを見せた。この区間における1年生最高タイムである1時間8分04秒(区間2位)で走り抜け、後続との差を突き放した。区間賞は14位から12人抜きで2位に浮上した山梨学大のオンベチェ・モカンバ(4年)。1区で上位につけた亜細亜大と日体大が3位、4位で続き、2度目の出場となった城西大がこの時点で5位と健闘した。 東海大は3区の北沢賢悟(4年)、4区の一井裕介(3年)も区間3位と好走し、首位を独走。この間、3区のディラング・サイモン(1年)が区間賞を獲得した日大が2位につけ、駒大が徐々に順位を上げて3位まで押し上げた。 5区では駒大の村上和春(3年)が日大を抜き、先頭の東海大・越川秀宣(4年)の背中を射程圏内に捕らえる。しかし、越川はそこから粘りの走りを見せ、チーム初となる往路優勝を手にした。 往路2位は30秒差で駒大が入り、3位は日大。4位には15位から衝撃の11人抜きを見せた順大・今井正人(2年)が入り、史上初の“1時間10分切り”となる1時間09分12秒という破格の区間記録を打ち立てた。 6区では中大の野村俊輔(4年)が3年連続の区間賞を獲得。先頭争いは駒大がじわじわと東海大との差を詰め、その差を14秒とした。 そして7区では駒大の糟谷悟(3年)が東海大・角田貴則(4年)を捕らえ、ついに逆転。糟谷は区間賞の活躍で一気に1分06秒もの差をつけた。 駒大は8区の藤井輝(1年)が区間14位と苦戦して27秒差まで詰め寄られたが、9区の塩川雄也(4年)が区間記録を22秒上回る圧巻の走りで突き放し、勝負あり。10区の柴田尚輝(4年)が悠々と逃げ切り、圧巻の4連勝を成し遂げた。4区で区間賞を獲得した主将の田中宏樹(4年)と塩川は史上12人目、13人目となる“4連覇戦士”となった。 後続は接戦となり、最終10区で山田紘之(4年)が区間記録を49秒も更新する爆走を見せた日体大が16年ぶりの好成績となる2位。日大が3位を確保、1区19位から猛烈な追い上げを見せた中大が4位に入った。 シード権争いは神奈川大と早大の争いとなり、早大の高岡弘(3年)が従来の区間記録を14秒上回る快走で追い上げたが、神奈川大も主将の内野雅貴(4年)が区間5位と粘りの走りでシード権を死守し、10位でフィニッシュ。早大はわずか22秒差の11位と涙をのんだ。 前年から最優秀選手に与えられることになった金栗四三杯は5区で11人抜きの区間新記録を樹立した今井が受賞。のちに「山の神」と呼ばれる男が初めて脚光を浴びる大会となった。 参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)
月陸編集部