日鉄のUSスチール買収計画、米司法省が詳細な反トラスト法調査開始
(ブルームバーグ): 米司法省は、日本製鉄による141億ドル(約2兆1600億円)規模のUSスチール買収計画について、反トラスト法(独占禁止法)に基づく詳細調査を開始した。事情に詳しい関係者3人が明らかにしたもので、買収手続きを完了させる上で新たな法的ハードルとなる。
関係者が匿名を条件に話したところでは、司法省当局者は反トラスト法に基づきさらなる情報を求めている。両社が4-6月(第2四半期)ないし7-9月(第3四半期)の承認を期待していた買収計画がさらに遅れる可能性を示す動きであり、11月の米大統領選挙の後まで決着しない可能性も浮上してきた。
反トラスト法に基づく詳細調査は米政治専門サイト、ポリティコが先に報じた。10日にワシントンで岸田文雄首相と会談したバイデン大統領は以前、USスチールについて米国内で保有される状態が続くことを望むと述べていたが、計画を阻止する意向を明示するには至っていない。今年の選挙でバイデン氏の対立候補となることが確実なトランプ前大統領は、取引阻止を目指す考えを示している。
司法省の調査は、世界の鉄鋼メーカー2位のアルセロール・ミタルとの合弁事業であるアラバマ州カルバートの製鉄所における日鉄の所有権が焦点だと調査に詳しい関係者1人は話した。
日鉄が買収を完了すれば、同社は米国内の約2000万トンの生産能力を支配することになる。司法省は日鉄が現在所有している他の資産についても、反競争的慣行がないか確認するために調査する可能性が高い。
日鉄はコメントを控えた。USスチールのコメントは得られていない。
関連記事:
原題:Nippon Steel Bid to Buy US Steel Gets Extended Antitrust Review(抜粋)
--取材協力:Leah Nylen.
(c)2024 Bloomberg L.P.
Chris Strohm, Josh Wingrove, Joe Deaux