採用パンフの萌えキャラ起用で話題 「公安調査庁」ってどんな組織?
先月公開された公安調査庁の採用パンフレットが、ネット上で話題になりました。というのも、これまでのテイストを大きく覆し、表紙に「萌(も)えキャラ」を起用していたから。女性と男性のキャラクターがニュースを伝える形式で、同庁の業務やこれまでの活動内容、働く職員の声を掲載されています。このパンフレット以外にも、従来のお役所っぽくない企画を準備しています。同庁は8月に高校生を対象とした「公安調査官疑似体験ツアー」を初開催。分析担当官体験や施設見学、現役職員との座談会が予定されています。 映画や小説などのイメージから、「公安」=秘密裏な組織を思い浮かべますが……日本の公安調査庁とはそもそもどのような組織なのでしょうか? その役割を見てみましょう。
テロ活動などの危険がある団体を調査
公安調査庁は、1952年の破壊活動防止法施行にともなって設置されました。公共の安全の確保を図ることを任務とした組織です。同法に基づき、テロなど、暴力で政治的な目的を達成しようとする団体の調査を行い、その活動を制限したり、解散させたりする処分を公安審査委員会(法務省の外局として設置された行政機関)に請求できます。 これまでは主に、オウム真理教や左翼、右翼団体、朝鮮総聯などの調査活動を実施してきました。しかし、同法がこれらの団体に適用された例はありません。背景には、同法の内容が戦前の反政府運動を弾圧の根拠として機能した「治安維持法」の内容を彷彿とさせ、「治安維持法の戦後版」として批判された経緯があるといわれています。
国内外で目を光らせる公安調査庁
同庁の活動を耳にする機会が増えたのは、一連のオウム真理教事件以後です。1999年には、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律が施行されました。過去に無差別大量殺人を行い、現在も危険な要素を持つ団体に対し、観察処分や再発処分を求める事務を付加。2000年以降は教団を同庁の監視下に置く観察処分が認められ、3年ごとに更新されています。 一方、公安調査庁には、海外情報を扱う情報機関としての役割もあります。北朝鮮によるミサイル発射実験や核開発、日本人拉致問題などの動向、国際テロ組織の情報など、あらゆる情報を収集しています。とはいえ、全世界に公安調査官が派遣されるのではなく、外務省職員として在外公館に勤務。いわゆる「スパイ活動」を展開しているわけではありません。