いま明かされる伝説のコラボレーション「OMEGA」×「Swatch」の「Bioceramic MoonSwatch Collection」誕生秘話
Swatchが発明したBIOCERAMICという素材
このプロジェクトのさまざまな柱のひとつに、Swatchが発明した「BIOCERAMIC(バイオセラミック)」がある。この素材がなければ、このプロジェクトが日の目を見ることはなかったという。3分の2がセラミック、3分の1がヒマシ油から抽出されたバイオ由来素材でできたBIOCERAMICは、シルクのような手触りでありながら強度と耐久性に優れた素材だ。
SwatchのNASAコレクションなどですでに採用されていたこの革新的な素材は、このプロジェクトでは豊富なカラーなどの新しい製造プロセスに取り組み、作業は膨大で簡単ではなかったが、コンフォートゾーンから抜け出し新たなレベルに達したという。
ディテールへの究極のこだわり
時計のディテールは極限まで追求された。コレクションに含まれる11個の時計は、オリジナルのOMEGA Speed master Moon watchの重要な要素を尊重している。直径42mmの非対称ケース、ダブル・ベベルのケースバック、 ベルクロ・ストラップ(バックルもバイオセラミック製)。さらに、すべてのモデルがオリジナルでSpeed master Moon watchへの鮮やかなオマージュを捧げている。 たとえば、Mission to the MoonはOmega Moonwatchにもっとも忠実なモデルですが、Mission to VenusはSpeed master 38とその特徴的なカウンターから直接インスピレーションを得た。Mission to Marsについては、赤いケースと秒針はOMEGAの“Alaska Project”ウォッチを参考にしており、カウンター針は宇宙ロケットをイメージしたものだ。オレンジ色のクロノグラフ針を備えたMission to Jupiterは、OMEGAのUltraman modelからインスピレーションを得ている。
10年語り継がれるコレクション
高級ブランドと、いわゆるエントリーレベルのブランドとの間のユニークなコラボレーションは、世界中にかなりのインパクトを残した。ニック・ハイエック氏は「驚きは完全でなければなりませんでした」と話す。スイスの時計産業全体にとっても非常に有益な影響がこのコラボレーションによってもたらされたと言える。 そしてニック・ハイエック氏は次のようにも予言した。「それは私たちの業界にハイパーラグジュアリー以外の何かを考えさせるでしょう。贅沢に集中したいという考えは簡単だが、危険でもある」永続的な成功を考えたとき、若者とそれほど若くない人、金持ちとそれほど金持ちではない人、その両方にとって魅力のあるものでなくてはならない。今回のコラボレーションはそれが一つの形となったと、ニック・ハイエック氏は思ったのではないだろうか。 『誰もが思ってもいなかった』このコラボレーションのミッションは明らかに達成されました。そして、これは始まりにすぎません」と綴られスイスからの回答は文章を終えていた。一部のオブザーバーは「10年語り継がれるコレクション」だと言った。 時計業界においてここまで話題になったコラボレーションは今までなかったと思う。Swatchがまた何かとてつもないブームを起こしてくれそうな予感がする。
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