【解説】ツイッター“閲覧制限”なぜ? 考えられる2つの理由 マスク氏の狙いは
今何が起きているのかというと、例えば、さまざまな省庁や自治体の情報発信にもツイッターは使われています。気象庁の公式ツイッターをみると、まさに3日も「大雨に厳重警戒」とツイートしています。このような投稿が見られなくなるかもしれません。 気象庁担当者に話を聞くと「警報などの情報はテレビやホームページなどでも提供されています。使いやすいツールを使っていただきたい。ただちに影響が出るわけではないが、今後のツイッターの動向を注視したい」とコメントしています。
■AIの開発に対する制限? マスク氏「“極端なレベル”で…」
そして、もう1つの気になるポイントが、投稿の閲覧数に上限を設けたのはなぜなのか。マスク氏の「狙い」は何なのかという点です。 SNSのデータ分析に詳しい徳島大学・デザイン型AI(=人工知能)教育研究センター長の石田基広教授に話を聞きました。例えば、ツイッターを閲覧する人の中には、一般の人だけでなく、企業が消費者の関心や動向を探る目的でデータをたくさん集めたり、チャットGPTなどのAI開発企業がツイッターから情報を吸い上げたりしています。 AIの開発というのは、大量の言語のデータが必要になるので、ツイッターはさまざまな言語で書かれた「データの宝庫」とも言えます。こうした使い方についてイーロン・マスク氏は「“極端なレベル”で膨大なデータを抽出するため、サーバーに負荷がかかる」と主張しています。 しかし、よく考えてみると、同じような状況にあるSNSはツイッターだけでなく他にもあるはずなのに、なぜツイッターだけが今回、閲覧を制限したのかという疑問に行き当たります。
石田教授は「考えられる理由は2つある」といいます。 1つは、ツイッターが従業員を大幅に減らしたことによって、システム管理に何らかの問題が生じていて、それに内部で対応できない状況ができている可能性です。もう1つは、マスク氏はそもそも生成AI開発に関して制限すべきという考えの持ち主のため、その考え方が今回の制限に影響している可能性があるという分析です。 石田教授は、「これまでも急な仕様変更などでユーザーに混乱を招いてきました」。マスク氏については「思いついて『よし』と思ったらすぐにやるのがマスク氏だ」とみていて、今回の出来事についても「またか」とあまり驚かなかったそうです。