U―23日本代表が死闘を制し、パリ五輪に王手 元日本代表MF北澤豪氏「10人の相手に負けたら、ヤバかった」
◆サッカー男子パリ五輪アジア最終予選兼U―23アジア杯 ▽準々決勝=延長戦15分ハーフ= 日本4―2カタール(25日・ドーハ) 【写真】日本が4強一番乗り 五輪切符を争うライバルはどこだ? 1次リーグを2位通過した日本は、準々決勝で開催国のカタールと対戦し、延長戦までもつれる120分の死闘を制して8大会連続の五輪出場に王手をかけた。 試合は前半2分、MF山田楓喜(東京V)がペナルティーエリア外右から左足で強烈なミドルシュートを放ち、先制。しかし、同24分に同点とされ、1―1で前半終了。さらに、前半41分にカタールのGKがレッドカードで一発退場し、数的優位の日本が後半4分にセットプレーから逆転弾を許した。1点を追う日本は同22分に右CKからDF木村誠二(鳥栖)が同点弾を頭で押し込み、延長戦へ持ち込んだ。 延長前半11分、FW細谷真大(柏)が右足で逆転ゴール。延長後半8分にFW内野航太郎(筑波大)が追加点を挙げ、勝ちきった。日本はイラク―ベトナム戦の勝者と29日(日本時間30日午前2時30分)に対戦。勝てば、パリ五輪出場が決まる。 元日本代表MF北澤豪氏(55)は、数的優位にありながら、死闘となってしまった一戦を厳しく評価。その上で「苦戦したことでチームは発展する」と若い日本代表のさらなる成長を期待した。 ※※※※※※※※※※※※ 10人の相手に負けたら、ヤバかった。 後半4分、日本はひとり少ないカタールにFKから逆転ゴールを許した。あり得ないことだ。ひとり少ないチームが何で得点を狙うか。それはセットプレーだ。だから、日本は自陣の危険なエリアではファウルをしてはいけなかった。ファウルをした選手だけではなく、チーム全体に「何がリスクか」という意識が足りなかった。 センターバックの木村と高井は、もっとリーダーシップがほしい。サイドバック、ボランチに対し、攻めるのか、守るのか、もっと、はっきりとさせなければいけない。それがセンターバックの仕事だが、中途半端な場面が目立った。 課題が残った守備面に対し、攻撃面は好調だ。 特に山田が右サイドで起点になり、多くのチャンスを作った。自身でゴールまで決める力もある。 細谷はここ一番でエースらしい仕事をしてくれた。決勝点はボールの受け方が良かった。カタールDFを体で押さえて、荒木からのパスを内側、前で受けた。体の強さが際だった。トーナメントはエースが点を取らなければ勝ち上がることはできない。その鉄則に照らし合わせても、細谷のゴールは準決勝以降に向けて、チームに勢いを与えるはずだ。 守備面では、厳しい提言をしたが、センターバックの木村は、CKからヘディングで起死回生の同点ゴールを決めてチームを救った。負けたらチームが消滅するという一戦で、若い選手たちが、ぎりぎり勝ち残って反省できることは良かった。苦戦したことでチームは発展していく。 これからの相手は、FWが強力になり、2列目から鋭い飛び出しをするMFもいる。グループとして、どう守るのか。中3日で修正が必要だ。 パリ行きの切符をつかむまで、あと1勝。若い日本代表の成長を期待している。(スポーツ報知評論家)
報知新聞社