1年間の課題成果を発表 松高3年272人 ポスターで80組が個性豊かに
スーパーサイエンスハイスクール 松島君ら3人はバイオプラ欠点の解決実験
三重県松阪市垣鼻町の県立松阪高校(井ノ口誠充校長、871人)の3年生272人が24日午後1時から、同校体育館や武道館、教室などで「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)ポスター発表会」を開き、1年間かけて取り組んだ課題研究の成果を発表した。 SSHは、文部科学省が国際的な科学技術分野の人材育成を図るため、理数系教育に重点を置いた研究開発を行う事業として2002(平成14)年から実施。指定校になると各種の支援が受けられる。同校は21(令和3)年度に3回目の指定を受けた。指定期間は5年間。 生徒たちは2~5人ずつの80グループに分かれ、物理学や化学、情報科学、医療など13分野でそれぞれテーマを決めて研究に取り組んできた。 この日は、研究成果を1枚のポスター(模造紙)にまとめて発表。発表は5分間で、質疑応答が3分間。また他グループの発表も見て回り、課題設定や分析検証、考察など5項目を25点満点で評価した。優秀発表に選ばれた上位8グループは、6月18日に伊勢市のシンフォニア響ホール伊勢で行う校内の「SSH研究発表会」で発表する予定。 化学の分野では、普通科の松島陸斗君、安藤大瑛君、西村友甫君の3人が、「二糖類によるバイオプラスチックの強化」と題して発表。竹繊維(糖類)でバイオプラスチックを開発したという報道を見て、植物由来のプラスチック素材・PLA樹脂(ポリ乳酸)の耐熱性が低いという欠点に着目。二糖類(糖類の最小構成単位の単糖2分子が結合した糖)がPLAの欠点解決につながるのではないかと、実験した結果を発表した。 実験では、3種類の二糖類を、それぞれPLAの原料の乳酸と混ぜて混合液を作り、約230度で2時間加熱してプレートを作成。それを手作りの加熱装置で温め2日間にわたって融解時間を検証した。その結果、二糖類の添加により、PLAの耐熱性能が低下する可能性があることが分かったという。 発表した松島君たちは、ALTの協力を得ながら英文の発表成果も用意。プレート作成時の加熱が不安定だった結果、厚さや水分量に差が生じて正確性に欠けてしまったといい、「加熱装置が自作なのが限界だけれど、これからもPLAと糖の親和性を調べていくなど、研究をしていきたい」と話した。 他にも「小学校国語における『ごんぎつね』の学習意義」や「人の味覚を騙(だま)してみよう!~味覚の不思議」など個性豊かな研究成果が披露された。