<頂点へ・センバツ山梨学院>「恩返しに」練習支援 OBで歌手・伸太郎さん 技術指導や助言、応援歌も披露 /山梨
21日に木更津総合(千葉)とのセンバツ初戦を迎える山梨学院。OBでシンガー・ソングライターの伸太郎さん(47)=本名・中沢伸太郎=は、歌手活動と並行しながらグランドに立ち、ナインを支えている。【田中綾乃】 高校時代は、秋の県大会初優勝に貢献するなど主に2番打者、中堅手としてプレーしたが、甲子園出場はかなわなかった。野球部を引退した3年生の秋、当時の監督の縁で作詞家の故・阿久悠さんの前で歌を披露し、歌手になるよう勧められたことをきっかけに歌の道に進むことにした。阿久さんからは「野球には人生のすべてが詰まっている。野球の中から生まれてくる言葉を歌いなさい」との助言を受け「自分を育ててくれた野球部への恩返しになれば」との思いで卒業後もコーチとして指導に携わり、今も週5回、練習に参加している。 チームの方針に基づき技術的な指導をするだけではなく、選手からの「我慢していたけれど太ももが痛い」など監督らに言いにくい相談にも応じる。ベンチに入れない選手に対しては「頑張っていることはいつか帳尻が合う。今目の前のことを精いっぱいやれ」と助言を送る。椎間板(ついかんばん)ヘルニアなどの影響で2年の夏まではほぼ練習に参加できなかった自身の経験から感じたことだ。相沢秀光主将(3年)は「大きな声の出し方などチームの雰囲気を良くすることを教えてくれる」と信頼する。 選手の悩みや指導者の思いに触れ、多くの歌詞が浮かび約200の曲を作った。今回のセンバツ出場を決めたナインへの応援歌も作り、2月に練習場で披露した。「出場が決まったとき、選ばれなかった学校のことも思い、浮かれなかった姿を見たとき『このチームはやれる』と思った。甲子園で人に勇気と希望を与えるプレーをしてほしい」と願いを込める。