優れた運用実績の厳選ラインアップで信頼獲得、「SBIプレミアムセレクト」の残高が1年で4.2倍
SBI証券が長期投資のために優秀な運用成績を残している投資信託を厳選した「SBIセレクト」「SBIプレミアムセレクト」を始めて、2024年12月に1周年を迎えた。長期でインデックスを上回る成績を残しているなど優れたアクティブファンドを厳選した結果、最優秀と考える投資信託15本に絞り込んだ「SBIプレミアムセレクト」の純資産残高は1年間で約4.2倍に拡大した。SBI証券で投資信託を担当する執行役員常務投資信託部長の上原秀信氏(写真)に、「SBIセレクト」「SBIプレミアムセレクト」の現状と今後の展望について聞いた。 ◆「プレミアムチョイス」から「SBIセレクト」へ ――2024年12月に「SBIセレクト」「SBIプレミアムセレクト」が1周年を迎えました。「SBI証券が厳選した『長期投資×好実績』ファンド」という位置づけで「SBIセレクト」約50本、「SBIプレミアムセレクト」15本という投信ラインアップをそろえています。「SBIセレクト」「SBIプレミアムセレクト」の狙いは? 「SBIセレクト」を始める前に、「SBIプレミアムチョイス」という「あなたにおすすめのアクティブファンド」という11本のセレクトファンドがありました。SBI証券が提供している2000本を超える投資信託の中から、良い銘柄を選ぶことが難しいという声にお応えしようとしたサービスでしたが、さまざまなプロモーションをしたにもかかわらず、スタートから2年たっても、他のファンドとの間で差が出るほどの注目はされませんでした。 「SBIプレミアムチョイス」がうまくいかなかった理由を真剣に反省して考えたのですが、最大の要因は銘柄を選定する際の基準が不明瞭だったということだと結論しました。そこで、定量的に厳格な基準を設け、改めて自信をもって選定したラインアップを提供しようと考えたのが「SBIセレクト」です。 たとえば、過去1年、3年、5年、10年という期間について、その全ての期間でインデックスを上回るパフォーマンスを残しているファンドがあります。一般的にアクティブファンドはインデックスを上回る成績をあげることが難しいといわれますが、約5800本といわれる公募投資信託の中から丁寧にデータを拾っていけば、優れた成績を残しているファンドがみつかります。そのようなファンドが存在するのであれば、その情報を投資家の皆さまにキチンと伝えるのが販売会社としての義務ではないかと考えました。 新NISAがスタートする直前だったため、新NISAの「成長投資枠」に採用されている銘柄(SBI証券が取り扱う約1100本=2023年12月当時)の中で1年・3年・5年・10年のトータルリターンが優れたファンドや、複数の投信評価機関を参考にして高いレーティングを獲得しているファンド(5段階評価の場合は、5または4)などから約50銘柄を「SBIセレクト」として選定しました。その中から3カ月に一度、その時のリターンがトップクラス、または、リスクとリターンのバランスの取れたファンドをカテゴリー内で厳選して15本程度を「SBIプレミアムセレクト」として選び抜いて公表するようにしました。カテゴリーは、お客さまに自由に組み合わせて使っていただきたいという視点で「国内株式」「米国株式」「全世界株式」「新興国株式」「国際債券」「国内REIT」「国際REIT」の7つを設けました。 ◆残高4.2倍増を実現した「SBIプレミアムセレクト」 ――1年間を振り返って「SBIセレクト」は残高が約1.7倍、「SBIプレミアムセレクト」は約4.2倍に残高が拡大したということですが、この結果をどのように評価されていますか? 「SBIプレミアムセレクト」が伸びたのは、「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」「HSBC インド・インフラ株式オープン」「日経平均高配当利回り株ファンド」「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」の4ファンドがけん引したためです。 この中で「HSBC インド・インフラ株式オープン」と「日経平均高配当利回り株ファンド」の2本は、2023年12月スタート当初「SBIプレミアムセレクト」ではなく、2024年2月から「SBIプレミアムセレクト」になりました。「HSBC インド・インフラ株式オープン」は、インド株ファンドの比較においてパフォーマンスが優れているため採用し、「日経平均高配当利回り株ファンド」は、「日本好配当リバランスオープン」の販売停止決定に伴う代替ファンドとして選んだものです。「SBIプレミアムセレクト」は、長期の視点を重視しつつ、適宜入れ替えを行うことで好成績アクティブファンドにおけるヒット商品を広げていきたいと考えています。 また、「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」は、「SBIセレクト」を構想している段階では、当社の取扱商品ではありませんでした。定量評価で成績の優れたファンドを選定していくと、特定の販売会社だけで取り扱っている「専用ファンド」の中に成績の良いファンドがみつかることがあります。その場合、運用会社に対して当社でも取り扱わせてほしいと交渉します。その交渉の結果、「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」は2023年10月に当社でも取り扱いができるようになり、12月スタートの「SBIプレミアムセレクト」にラインアップできました。交渉の結果、必ずしも当社で取り扱いが可能になるわけではありませんが、優れたファンドをラインアップに加える努力を続けています。 一方、投資信託についてお客さまの保有金額に応じて毎月ポイントが獲得できる「投信マイレージ」では、「SBIプレミアムセレクト」15本は、1000万円未満が0.15%(通常の1.5倍)、1000万円以上保有時は0.25%です。「SBIプレミアムセレクト」の残高が大きく伸びた要因の1つには、この「投信マイレージ」の優遇も評価していただいたものと感じています。 ――1周年を機に「SBIセレクト」のラインアップの見直しを行いましたが、見直しにあたって重視したポイントは? カテゴリーごとの相対評価から、長期の好実績ファンドとはいえなくなってきたファンドは、思い切って除外しました。これは定量評価で行っていること、また、複数社のファンドレーティングを参考にしているため、投資家の皆さま、また、運用会社の方にも納得感があるのではないかと考えています。 ボリュームゾーンのカテゴリーである「国内株式」「米国株式」「全世界株式」は今回除外した数よりも新規採用数が少なく、今回採用されたファンドは定量評価で厳選されたファンドだといえると存じます。重視するのはパフォーマンスがメインですが、残高や資金流入動向も加味して総合的に判断しています。 ――2年目が始まりましたが、今後の「SBIセレクト」「SBIプレミアムセレクト」の展望について教えてください。 ネット証券の「成長投資枠」の利用は、ほぼ半数が株式、残りが投資信託という状況です。「成長投資枠」で利用されている投資信託は、「つみたて投資枠」と同じになっているお客さまも多いようですが、「成長投資枠」には「つみたて投資枠」にはない魅力のあるファンドがあります。「成長投資枠」におけるポートフォリオの組み方は、本来はお客さまニーズによって異なるべきです。私どもから積極的に魅力的なファンドの情報を提供することによって、お客さまに合ったポートフォリオを構築するためのツールとして「SBIセレクト」を参照していただきたいと考えています。 ◆投資家個々人の運用ニーズに的確に応える情報提供 ――新NISAへの対応について教えてください。今後も新NISAでSBI証券を選び続けてもらうために強化していくポイントは? お客さまのニーズに合った商品のご提供と拡大するNISA成長投資枠ファンドラインアップ(直近では業界全体<ETF除く>では2003本うちアクティブ1493本、当社では1299本うちアクティブ861本)(2024年12月時点)の絞り込み例の1つとして「SBIセレクト」の役割はますます大きくなっていくのではないかと考えています。良質なNISA「成長投資枠」のファンドの情報発信の場となれば良いと考えています。 当社では会場・WEB配信ハイブリッド型セミナー「NISAの学び舎」を定期的に開催し、投資信託やETF(上場投資信託)の情報を発信しています。2024年2月に開催した「新NISAの学び舎2024」では来場とオンライン参加を合わせ約1万7000人の方に参加していただきました。今年は3月1日に東京駅近くの東京国際フォーラムを会場に「NISAの学び舎2025」を開催します。2024年と比較すると出展ブースとセミナー会場の座席数を2倍にします。投資系の著名インフルエンサーにもブースを出していただいて、インフルエンサーから直接話を聞く機会を設けるというのも大きな特徴です。また、今年はETFの特設ブースを出していただき各ブースではETFの基礎が学べるミニセミナーを開催します。投信運用会社のブースは22社が参加していただく予定となっており、当日は9時30分から18時までの開催を予定していますが、1日では回りきれないくらいのボリュームのある情報提供の場になると存じます。 また、昨年12月に設定した「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」は、当社単独で募集を行って当初設定額が約600億円となり、設定から1カ月足らずの1月10日には純資産残高が900億円を超えました。お客さまのニーズにかなった商品を良いタイミングで発売すれば、ネット証券からでも大規模な人気商品ができるということの事例になったと思います。NISAとは直接関係しませんが、昨年は英国の運用会社マングループと連携してオルタナティブ投資(代替投資)を組み入れた投資信託の取り扱いも始めました。ネット証券は複雑な仕組みの商品を販売するのには不向きという見方もありますが、しっかりした情報コンテンツを提供することによって、複雑な仕組みの商品についてもお客さまにお伝えできることが分かってきました。「SBIセレクト」によって優れた運用実績のあるファンドの品ぞろえを充実させる一方で、「SBI発」の新商品にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。 対面の販売会社は、個々の販売員の力によって幅広い知識に基づく丁寧な情報提供が可能です。ただ、対面の販売会社では、商品の比較情報の提供が中心になりがちで、説明を受けた商品の特徴などはよく理解できても「その商品が自分にとってどのような意味があり、価値がある商品なのかは今一つよくわからない」というご意見をお客さまから聞きます。私どもは、情報発信を積極的に行うことによって、商品の内容を分かりやすく伝えることはもちろん、お客さまにとってその商品の価値があるかどうか納得いただけるような情報を届けたいと考えています。ご自身で投資判断をされるにあたって重要なことは、その投資行動が自分にとってメリットがあるかどうかの判断です。そのような情報を一人ひとりのお客さまに的確に届けられるよう努力を続け、お客さまに選ばれる証券会社であり続けたいと考えています。
ウエルスアドバイザー