「雪の中から手が…」トイレのため隊列離れた瞬間、雪崩がメンバー直撃 「一瞬で埋まった」事故、全員救助し奇跡的に無事
北アルプス風吹岳で2日に起きた雪崩事故
2日に長野県北安曇郡小谷村の北アルプス風吹(かざふき)岳(1888メートル)付近で起きた雪崩事故。二つのパーティーの日本人計10人(男性7人、女性3人)が巻き込まれたものの、全員けがもなく無事だった。 【地図】10人が巻き込まれる雪崩が起きた北アルプス風吹岳の場所
「何が起きたか分からなかった」
風吹岳の北野口登山口近くでは2日午後5時ごろ、雪崩に巻き込まれた8人が無事下山できたことにほっとしつつ、疲れた表情でスキー板の雪を落としたり、スノーウエアを着替えたりしていた。 「一瞬で雪に埋まった。あっという間すぎて何が起きたか分からなかった」。登山仲間の6人グループで風吹岳を目指していた富山県の女性(40)は言葉少なだった。
10人で隊列を組みラッセル
雪崩に巻き込まれた人たちによると、6人グループと、風吹岳の北にある横前倉山(1907メートル)方面を目指していた4人グループは進行方向が同じため一緒に行動。沢筋に沿って10人で隊列を組み、雪をかき分けてラッセルをして歩いていたという。
1人難を逃れた男性、まず1人を掘り出してから協力してシャベルで救助進める
4人グループの山梨県の男性(55)は用を足すため列から離れた時、雪崩が起きて自分以外の9人が埋まったという。「雪煙がすごくて、声をかけると雪の中から数人の声がして、手だけが出ている人もいた」。男性は呼吸ができるように、と埋まった人の顔だけを先に雪から出るようにしていったが人手が足りず、まず1人を雪から完全に掘り出し、協力して救助を進めた。先に救助された人たちが協力してビーコンで埋没地点を確認し、シャベルで全員掘り出したという。 この男性は入山前、2日の詳細な天候や積雪状況を調べてはいなかったという。普段から、兆候となる亀裂などを見て雪崩の危険性を判断しているといい「次はもう少し慎重に行かないといけない」。
手だけが雪上に出ていた男性「全身埋まって体が動かなかった…」
発生直後は手だけが雪上に出ていたという岐阜県の男性(55)は「全身が雪に埋まってしまい体が動かなかった。けががなくて良かった」と振り返った。 自力で下山した8人以外の2人は長野県警ヘリで松本市内の病院に搬送された。低体温症で意識がもうろうとしていたが、けがはないもよう。