「植田日銀」が追い詰められた…!利上げを取るか円安を取るか、決断次第で国民の生活はさらに追い込まれる
為替市場で円安が止まらない。日銀の植田和男総裁が追加利上げを示唆したにもかかわらず、4月の金融政策決定会合では現状維持となり、市場は日銀には選択肢がないと認識し始めた。ここまで円安が進むと秋に値上げラッシュが再来するのはほぼ確実であり、賃上げと定額減税の多くは、物価上昇で吹き飛ぶ可能性が高い。 【当落一覧】次の総選挙で「落選する議員」の全実名!
簡単に為替介入はできない
4月初旬、1ドル=151円前後で落ち着くかと思われていたドル円相場は、再び円安に向けて動き始めている。当初、1ドル=152円前後での為替介入が取り沙汰されていたが、あっけなく152円台を突破したことから、投資家の関心は155円にシフト。だが155円台に入っても介入は行われず、156円を突破してからは円売りが加速する状況となっている。 同じ為替介入でも、通貨高(円高)を防ぐ介入と、通貨安(円安)を防ぐ介入とでは天と地ほどの違いがある。円高を防ぐ介入の場合、円を売ってドルを買う取引になり、政府はいくらでも日本円を調達できるので、事実上、無制限の介入が可能だ。一方、円安を防ぐ介入は手持ちのドルの範囲でしか実施できないので、おのずと上限が決まってくる。 加えて言うと、自国の利益のみを追求した為替介入は原則として認められないというのが国際社会のコンセンサスとなっており、国際協調が得られない限り、大規模に実施するのは難しいという政治的側面もある。 4月17日に米ワシントンで開催された主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では、為替相場についての文言が共同声明に盛り込まれるなど、円安に苦しむ日本に対し米国が一定の理解を示したほか、日米韓3カ国の会合では、為替市場について「緊密に連携する」との表明が行われた。日銀の植田総裁も記者会見において「金融政策の変更もあり得る」と、追加利上げを示唆する発言を行うなど、円安をけん制する動きが相次いだ。
日銀の失敗
一連の動きから、為替市場は一時、様子見の展開となり、25日と26日に開催された金融政策決定会合の結果待ちとなった。 もともと4月の決定会合では大きな変化はないと言われていたが、植田氏から積極的な発言が相次いだ以上、何らかの動きがあると予想した市場関係者は少なくなかった。 だがフタを開けてみると決定会合は現状維持となり、物価や為替に関する植田総裁の発言もトーンダウンしている。日銀の姿勢にブレがあると感じ取った投資家の円売りが加速し、一時は1ドル=160円を突破する状況となっている。 今回の日銀による一連の対応は、明らかに失敗だったといってよい。過度な円安をけん制するため、米国との協調を演出したところまではよかったが、追加利上げを示唆する発言を行ったのは、踏み込みすぎだった。 実は植田総裁は18日の記者会見に続いて、翌日の講演でも同じ趣旨の発言を行っており、市場は単なる口先介入ではない(何らかのアクションがある)と判断した。ところが26日の決定会合では現状維持が選択されただけでなく、「今の円安が基調的な物価上昇率に大きな影響を与えているわけではない」、「基調的な物価上昇率に対して大きな影響はないと(中略)判断した(中略)」など、後ろ向きな発言が相次いだ。日銀の判断が揺れていると判断されても仕方がない状況だったといえるだろう。 実際、今回の決定会合では、議論が二転三転した可能性が否定できない。なぜなら、決定会合2日目である26日朝、同日に行われる会合について「国債購入縮小の方法検討、事実上の量的引き締めへ移行」(時事)という記事が流れたからである。