35年かけて開発 “日本一高いビル”麻布台ヒルズは日本経済を変えるのか【WBS】
東京の再開発についてです。今年は、東京ミッドタウン八重洲や、虎ノ門ヒルズのステーションタワーなど、超高層ビルが相次いで登場しましたが、今週、新たに“日本一高い”ビルがオープンします。それが麻布台ヒルズです。森ビルにとっては、六本木、虎ノ門に続く3番目の大規模ヒルズです。麻布台ヒルズの誕生で日本経済はどう変わるのでしょうか? 麻布台ヒルズの高さはおよそ330メートルで、ほぼ東京タワーと同じ高さ。大阪のあべのハルカスを抜いてビルとしては日本一の高さになります。延床面積は六本木ヒルズを超える86万平方メートルで、敷地のおよそ3分の1は、緑化エリアで環境への配慮が強いことが一つの特徴です。広場には果樹園などが設置され、ビルの上部にも緑が置かれています。 施設内にはオフィスや住宅の他、一般の客も利用できる商業施設などが入り、24日から順次オープンします。 「ここはどういったお店ですか?」(中垣正太郎キャスター) 「『ミスター チーズケーキ』というブランドです。基本的にはオンライン販売メインにやっているが、麻布台ヒルズに初の実店舗を出店させてもらった。新しい場所は多くの人が注目してくれるし、海外の人も足を運んでくれると思う。このミスター チーズケーキがたくさんの人に知ってもらえたら」(「ミスター チーズケーキ」の田村浩二CEO) 他にもエルメスなどの高級ブランドも出店。ファミリーマートも出店しますが、店の奥にあったのは、ウォーターサーバーです。 専用ボトル(4290円)を購入で、無料で炭酸水が飲めるファミマ初のサービス。麻布台ヒルズのコンセプト「グリーン&ウェルネス」に合わせ、ペットボトルの削減などを狙い、導入しました。他にも食品ロス削減のために必要な分だけ購入できる量り売りのサービスも導入しました。
日本版“シリコンバレー”も
新たなヒルズは、日本経済をどう変えるのでしょうか? 麻布台ヒルズに移転するコンサルティング会社「ベイカレント・コンサルティング」。前の本社は虎ノ門ヒルズです。 「生産性という意味では、やっぱり付加価値をどう出していくか。より会社に集まる意義をつくって、フェイス to フェイスで価値を作っていく」(「ベイカレント・コンサルティング」の則武譲二常務執行役員) 日本経済の課題の一つが、世界に通じる高度人材の不足。広い緑地面積など環境に配慮した施設で、そうした人材が通いたくなるような場所を提供することが狙いです。 さらにヒルズハウスという入居企業の社員向けの福利厚生施設も整備しました。オフィスは今年度中に全て埋まる見通しだといいます。 「都市間競争で負けていくと日本自体が敗れていってしまう。東京は日本のエンジンとして国際都市競争に勝っていくと。「アジアの中心都市」であるべき。そこを守らないと、どんどん日本からいなくなってしまう危機感はある」(「森ビル」の辻慎吾社長) 麻布台ヒルズが日本経済の中でもう一つ変えようとしている点があります。イノベーションが生まれない構造です。 施設内にある「東京ベンチャーキャピタルハブ」にはNTTドコモ、関西電力、東京大学などが運営するベンチャーキャピタル70社が入居します。共用のワーキングスペースや交流スペースが設けられ、日本初の大規模なベンチャーキャピタルの集積拠点となります。 その中の会社の一つである「インキュベイトファンド」共同代表の本間雅彦さんは、「アメリカのシリコンバレー、スタンフォード大学の近くにサンドヒルロードというベンチャーキャピタルが集積する場所がある。森ビルと長い間をかけて日本にも同じようなベンチャーキャピタルの集積地を作りたいと話していて、ようやくそれが実現してわくわくしている」と話します。 ベンチャーキャピタルが70社もあることは、ライバルがたくさんいることにもなりますが、本間さんは次のように話します。 「大きなイノベーションを起こそうとすると、競争というより協調、協業が大事になる。1つのスタートアップを1つのベンチャーキャピタルが支援するのではなく、多くのベンチャーキャピタルとコーポレートベンチャーキャピタル、そして大企業が一緒になって、日本から世界に出ていく大きなイノベーションを一緒に作っていく場所にしたい」(本間さん) 海外投資家からの注目も高まっています。 「おかげさまで毎日のように海外の投資家がこの場所を訪れてくれている。日本のスタートアップ、ベンチャーキャピタルといえばここだとなってきている」(本間さん) ※ワールドビジネスサテライト