「光る君へ」晴明の従者・須麻流って何者?大河初出演のダンサー・DAIKIが解釈語る
ところで、須麻流にとって主である晴明はどんな存在なのか。兼家が存命だった時代には彼の野望をかなえるべく、邪魔になる存在を呪詛。兼家が孫である懐仁親王を即位させるべく花山天皇を退位に追い込んだ陰謀に晴明がかかわっていたりと、どちらかというと汚れ仕事が多かった。須麻流は、そんな晴明の人に知られてはならない暗躍をそばで見てきた唯一の存在だ。
「従者でありながら晴明にパシリにされるようなことはほぼないんですよね。晴明は孤独な人なので、須麻流が友人ともいえる気がしていて。だから、たとえ晴明が悪いことをしているとわかっても動じない。目を合わせてニヤリとしたり、悪そうな顔をしたり、歩いたり、誰かと話しているときにそばにいたりと、いろんな角度からそばにいるので、僕の中では親友というかニコイチのようなイメージが強くなっている気がします。従者というよりもバディに近いかもしれません」
また、須麻流は基本的に晴明演じるユースケの発言や行動に対してリアクションする“受け”の芝居であるため、ユースケを観察することを心掛けているとも。
「たとえそれが悪いことであっても、晴明の答えが須麻流の答えなんですよね、多分。自分から発信しないというのはダンスと大きく違うところだと感じていて、結構晴明の表情を真似てみたりしています。ユースケさんだけ撮影の時もあるので、そういうときはチャンスとばかりにモニターでユースケさんの演技を見て“こういう悪い顔をするんだ”とか。ユースケさんの演技から得るものは多いです」
街中で“須麻流だ!”と声を掛けられることも多く、反響の大きさを喜ぶDAIKI。そんな彼の起用理由について制作統括の内田ゆきは以下のように語っている。
「オーディションに来ていただいた折の、明るく積極的な雰囲気が須麻流役に望ましいもので、ユースケ・サンタマリアさんとのコンビもしっくりくると予想できたこと。そしてダンスのキャリアからか、ご自分を表現したいという思いが強く、さらにスキルもお持ちであることを実感したからです。セリフは多くはないですが、視線のお芝居が効いていて、須麻流という名前(スバルの意)のごとく、キラリと光る存在感は素晴らしいと実感しております」
現在、公卿のトップとなった道長は父・兼家や兄・道隆らと異なり、民のための忖度しない政策を目指していることから晴明とのかかわり方もまた変わってきており、今後の晴明&須麻流の活躍、暗躍に期待が高まる。(取材・文:編集部 石井百合子)