リニア工事、JR東海社長「静岡県との対話進んだ」 生態系影響前提の議論開始で
JR東海の丹羽俊介社長は、17日に都内で開いた定例記者会見で、リニア中央新幹線トンネル工事に伴う南アルプスの生態系への影響について、影響が出るのを前提とした代償措置の議論が静岡県専門部会で始まったことに「(県側との)対話が進んだ」との認識を示した。県は従来、影響を出さない対応を求めていた。2027年の開業断念を理由にした川勝平太知事の辞職に関しては「コメントする立場にない」とした。 12日に開かれた県の生物多様性専門部会では、新たに就任した委員が「影響は必ず出る」との考えを前提にして「正面から代償措置を検討していく必要性がある」と指摘。県もこうした方向での議論の取りまとめに向けてかじを切った。丹羽氏は「ユネスコエコパークに認定された趣旨を踏まえ、南アルプスの保全や利活用に積極的に貢献する」と述べた。 静岡市が9日に開いた事業影響評価協議会でも、シカによる食害で失われた植物群を回復させる取り組みを工事に伴う影響の代償措置として評価する新たな考え方が示された。丹羽氏は「市の意見を踏まえて、取り組みを充実させる」と強調した。
静岡新聞社