長野県「淫行条例」7月1日に成立へ 罰則規定の削除求める声も
弁護士会「真摯な恋愛の線引は難しく冤罪の恐れ」
この日会見した長野県弁護士会は会長談話で「真摯な恋愛においても、見方によっては『威迫』『欺罔(ぎもう)』『困惑』と捉えられるような行為が伴いうる。それが真摯な恋愛かどうかという評価がどうしても求められることになり、その線引きの難しさから、本来罰すべきでない行為に捜査が及んだり、当事者の一方的な被害申告で処罰されるおそれが高い」などと指摘。 深夜の子どもの連れ出しについても「17歳と18歳がまじめな交際をしていても、親が交際に反対している場合はこの2人が外出するだけで18歳が処罰される」と、恋愛に捜査が関与することで子供の自由が過度に制約されるとしました。 弁護士会の「子どもの権利委員会」委員長の中嶋慎治弁護士は、「条例案はこれらの問題点を除けば子どもを性被害から守るための総合的な取り組みとして評価できるものだ」とし、罰則規定の削除が条例を法律的にも問題なく運用できるために必要だとの認識を示しました。また、柳澤会長は「県民運動でやってきたその方針の大転換となる状況を踏まえて今回の見解を表明することにした」と述べ、広く県民の理解を求めるとしました。 県会にはこれまで自民党の一部議員も含め、「罰則付きの条例で青少年を守ったり育成ができるのか。長い歴史を持つ県民運動を大切にすべきだ」との主張がありましたが、論議は十分盛り上がらず、条例化反対の動きは腰砕けの状態になりました。 罰則付きの条例を持たない長野県の「県民運動方式」はこれまで全国ただ1つの取り組みで、西沢権一郎知事以来、半世紀にわたり歴代知事がこの方針を支持してきました。
--------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説