【広島】貧打解消へ地獄の猛練習 16か所の打撃練習スペースはコーチの〝監視〟付き
これが〝令和版〟地獄の猛練習だ。広島は4日、秋季キャンプを宮崎・日南市でスタートさせた。 初日から、リーグワーストのチーム打率2割3分8厘、同5位の415得点と貧打に泣いた今季の〝課題〟をつぶしにかかった。野手は練習の8割が打撃。午前中に2時間、昼食後は2時間40分、ぶっ通しで振り込ませた後、20分の休憩後も、また打撃。最後はロングティーと、ネット裏でスイングを繰り返す通称「連ティー」で締めくくった。 新井貴浩監督(47)は「事前に量は増えると言ってあったし。体で覚えていくぞと。数をこなして、自分の体に落としこんでいく」と涼しい顔で振り返った。来季への布石となる秋の鍛錬で指揮官も雰囲気が変わった。これまでは選手たちとは対話を重視していたが、キャンプ初日を見る限り、選手とのコミュニケーションは必要最低限。明らかに一線を画し、ひたすら腕組みして選手を凝視し続けた。 貧打解消へ「本気度」を伺わせたのが、担当外のコーチ陣も総動員したこと。昼食後の打撃練習では、フリー打撃の3か所のほか、ティー、ロングティー、ファウルゾーンの鳥かごと、屋外だけで10か所。さらに室内でも6か所「打撃練習」スペースを設置。計16か所も設置したうえで今キャンプではファームから野手関連のコーチを3人増員、一軍野手コーチ陣と合わせ各所に必ず1人、コーチ陣を常駐させ、選手たちがバットを振るペースが落ちないよう目を光らせ、ナインを追い込む仕組みも用意周到だった。 見守るコーチ陣は、ほぼ監視役。かつての赤ヘル猛練習はコーチ陣から気合注入の「声」が飛ぶことも日常茶飯事だったが、それもなく、選手はただひたすら、手を止めることなく振り続け、木製バットの乾いた打撃音だけが、延々と日南の空に響き続けるのみ。文字通り体を張り続ける秋となりそうだ。
赤坂高志