【ラグビー】蓄えた自信。西村蒼空[女子日本代表・三重パールズ/FB]
2023年5月のカザフスタン戦でテストマッチデビューを飾って以降、コンディション不良で欠場した今年5月の香港戦を除けばすべての試合で背番号15をつけている。 パールズに加入して2年目の23歳、西村蒼空だ。 「試合に出られなかった時期のFBの選手と比べると、なんで出られているのかなと思うときもある」と自己評価は厳しい。 2022年のW杯で正FBだった松田凜日は現在セブンズに専念。パリ五輪のメンバーに選ばれている。 「年下なんですけど、近づきたいです。自分はオフロードとか味方を生かすプレーが得意なのですが、FBはラインブレイクでチームを勢いづかせるのが役目だと思っています」 そのための個人練も欠かさない。 「アジリティやフットワークをやっていて、相手を揺さぶった後で抜くとか、相手が嫌だなと思うような動きをしたい」 伏見工、龍谷大で主将を務め、U19日本代表の経歴も持つ父・清二さんが大空少年少女ラグビーチームのコーチになるのを機に、小学5年時から自身も楕円球を追った。 武器とするキックの原点は京都ジョイナスに所属した中学3年時。1学年上でキッカーを担っていた現日本代表SOの大塚朱紗が卒業し、その役が回ってきてからみるみる向上した。 代表の合宿に初めて呼ばれたのは追手門学院高3年時と早かった。当時はSO。15人制の経験がほとんどなく、戸惑った。 「15人制がどういう考えでどう攻めるのかあまり理解できなくて。迷いながらやっていました」 初キャップまでは5年を要した。それでも、「(それだけ)時間が必要だった」という。 「当時はレスリーさんにはまだ自信がないねと言われていて。選んでくれた時は、自信が持てたところを見てくれたのだと思います」 5年間でポジションはCTB、FBと下がる中で、「今はジャパンのやりたいことを把握した上で自分の役割はこう、このシチュエーションの時はこうしようと、余裕を持ってプレーできるようになりました」。 キャップを11まで伸ばし、来年に迫るW杯への思いも変化している。 「出られたらいいな、から、絶対出るに変わりました。気持ちがより大きくなっています」 パリ五輪を終えれば松田は15人制に復帰する予定だ。簡単に15番を渡したくない。 ※ラグビーマガジン9月号(7月25日発売)の「フィジー代表とのテストシリーズ」掲載情報を再掲