熊本市庁舎建て替え問う住民投票、市長「認めがたい」…条例案に反対意見を付け臨時議会に提出へ
熊本市の大西一史市長は7日、市庁舎建て替えの賛否を問う住民投票条例案を、14日に招集する臨時議会に、反対意見を付けて提出することを明らかにした。提案は地方自治法に基づく住民団体の直接請求を受けたもので、採決は17日に行われる。市長はこの日の議会運営委員会で「単に賛否を問う住民投票は認めがたい」と述べた。 【写真】住民投票条例の制定に反対の立場を表明する大西市長
市は中央区手取本町にある本庁舎と中央区役所を、それぞれ桜町と花畑町に移転整備する計画だ。概算事業額は約616億円を見込んでいる。
これに対し市民団体が住民投票実施を求める署名活動を昨年8月から実施。各区の選挙管理委員会の審査で、直接請求に必要な選挙人名簿登録者数の50分の1を上回る1万8988筆が有効とされ、団体は12月25日に市に直接請求を行った。
議会運営委員会で大西市長は、直接請求の意義には理解を示しながらも、「6年以上にわたる市議会の議論や市民説明会などを通じて、市民の意見を反映しながら検討を進めてきた」と強調。合併市町村の事業を国が支援する合併推進債の活用期限が2024年度中に迫っていることも反対の理由として挙げた。
直接請求した市民団体の西川文武代表は、「建て替えありきで話が進み、真に民意は問えていない。十分な説明をしたと言うのであれば、堂々と住民投票を実施し、民意を問うべきだ」と話している。