物議を醸すトランプ流人事、米議会上院の承認の行方は 奥の手「休会中任命」はあるか
トランプ次期政権の閣僚候補者らは来年、共和党が多数を占める米議会上院の承認が必要となるが、性的不品行や違法薬物使用などの疑いで下院の調査を受けた司法長官候補のマット・ゲーツ氏、政府で要職を務めた経験のない国防長官候補のピート・ヘグセス氏ら一部候補者の承認を巡って物議をかもす可能性がある。トランプ氏がどのように候補者を選んでいるのか、そして承認のプロセスがどのように展開される可能性があるのか、見てみることにしよう。 <トランプ人事に共通するものとは> トランプ氏は1期目の任期中、セッションズ元司法長官やマティス元国防長官など、多くの政府高官経験者を要職に抜擢したが、彼らと強い関係があったわけではない。 ロイターの米政治担当ジム・オリファント記者は、今回は前回とは異なるアプローチを取っていると指摘する。 ロイター 米政治担当 ジム・オリファント記者 「今回のトランプ人事で見られたのは本当に一貫したパターンで、それはトランプ氏が知っている人物を起用しているということだ。トランプ氏がここで基本的にやろうとしているのは、 政権内のさまざまな役職の人々が彼の望むように政策を遂行してくれると信頼できる、信頼の輪を築くことだ」 <トランプ氏の思惑通り進むか> 閣僚候補者らは、1月のトランプ氏の大統領就任後、議会承認のための公聴会に臨む。米国民はこの公聴会で、閣僚候補者らの経歴を知り、役職への適性を評価する機会を得るが、候補者らはこの公聴会以前に主要な上院議員と面会する可能性が高い。 「上院から必要なのは単純過半数であり、51票だ。過半数を上回っていれば、一部の議員が賛同しなくてもよい。問題は、より物議をかもす候補者の場合だ。具体的には司法長官候補のマット・ゲーツ氏や、国防長官候補のピート・ヘグセス氏だ。現時点で彼らの資格や、職務への適性について、多くの疑問が持たれている。そのため共和党の上院議員が5人程度の反対グループを作れば、指名が阻止される可能性がある」(オリファント記者・以下同) トランプ氏が公聴会を前に潜在的な反対勢力の存在を察知し、指名を撤回する可能性もある。 <休会中任命とは何か> 「休会中任命」を行うことで、上院の承認が不要になる可能性もある。 「これは米憲法で認められている仕組みで、上院が休会中、つまり会期の合間に、上院の承認なしに閣僚や政府高官を任命できる。任期は2年間。上院の承認手続きを迂回する手段として、過去に用いられたことがある」 ただし、候補者が正当性を欠いていると見なされる可能性があり、上院を敵に回す恐れもある。 共和党は下院だけでなく上院でも多数派を獲得している。政策課題の実施前に分裂を生じさせたくないトランプ氏としては、休会中任命の使用は避けたいところだろう。