■相談者層の変遷と長期支援の必要性

2023年に設立した「アンドベース」の個室

「Homedoor」が2018年から運営しているシェルター「アンドセンター」では、相談者に無料で宿泊場所を提供しています。 大阪市には行政が設置したシェルターもありますが、個室がないため、個室で安心して宿泊できる環境を提供するために設立されました。 「今日寝るところがない」人に部屋を貸す、主に緊急対応に特化した施設です。原則2週間の滞在中に、仕事・住居探しなどをサポートしてきました。 以前は、路上生活をする高齢男性が支援対象の中心でしたが、徐々に若者や女性、親子で相談に訪れる人も増えてきたのです。 さらに長期滞在・長期支援のニーズも増加し、シェルターでは新規の受け入れが困難になりました。施設内にはエレベーターがないため障害者や高齢者は利用しづらく、住所が公開されていて、DV被害者などには不安があるといった課題も…。

「アンドベース」の共用部分

そこで「幅広い相談者を長期的に支援する施設」として生まれた、新たなシェルターが「アンドベース」。対象者は大きく以下の3つです。 ①頼れる人がいない若者 ②母子世帯やDV被害者 ③高齢者など体が不自由な方 DV被害者などに配慮し、住所は非公開。エレベーターやオートロックが完備された物件を5億円で購入し、2023年春から運営を始めました。 新施設は現在すでにほぼ満床状態です。利用者は10～60代で、20代が最多。施設内で若者向けの就労支援セミナーなども実施予定とのことです。 実際にアンドベースを利用している相談者の方にも話を聞きました。 Q.どういった経緯でHomedoorを訪れたのですか？ 【Aさん（60代女性）】「路上生活をしていた2023年にHomedoorの方にお弁当をもらい、ここに頼ることにしました。区役所に紹介してもらった施設にお世話になったこともありましたが、集団生活が辛く、飛び出してしまったんです。こちらに相談した頃から体調の異変がありましたが、現在は個室で生活し、施設から通院しています。感謝しかありません」 同団体では、路上生活者に弁当を配るなど、団体の認知度を高めるための活動も積極的に行っています。