ついに最高裁が動いた! 「性別の本質は、外見ではなく内面にある」トランスジェンダーの訴えで「生殖不能手術を求める法律」は憲法違反に
岡山県で農業を営む臼井崇来人さんは、トランスジェンダーだ。戸籍上は女性だが、女性として扱われることに不満を抱いてきた。自覚したのは3歳の頃。バイト先で制服としてスカートを渡されて体調を崩したり、成人式で振り袖をかたくなに拒んだりしたこともあった。しかし、当時は「性同一障害」という言葉が浸透していなかった時代。「あてがわれた性別を生きなければならないのだろうか」。自分を抑えつけ、困難を感じながら生きてきた。 臼井さんのように性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更する場合、日本の性同一性障害特例法では「生殖機能がないこと」が要件となっている。事実上、生殖能力をなくす手術が必須だが、体への負担は大きく、深刻な後遺症のリスクもある。 最高裁は手術要件の違憲性について、大法廷の15人の裁判官が審理し、25日に「憲法違反」とする決定を出した。実は最高裁では、別の家事審判で4年前にも同じ内容を審理している。この時に訴えたのが、臼井さんだった。(共同通信=清鮎子)
▽「女性扱い」40歳で限界に 臼井さんは20代でアメリカに留学。クリスチャンとなり、洗礼を受けた。当時通っていた教会では、「聖書には、神は男と女を創ったとある」と教えられ、もっと女性らしくなるために化粧を訓練させられた。 アルゼンチンでの宣教師生活を経て2006年に帰国。30代になり結婚を意識するようになり、自分自身と真剣に向き合った。 「このまま女性として扱われる不本意な状態を我慢する人生を送るのか。もう限界だ」 性同一性障害との診断を受け、40歳になったのを機にフェイスブックで公表し、こうつづった。 「自分に誠実に生きようと思う」 戸籍上の名前も、海外で呼ばれていたニックネーム「タカキート」に変更した。 ▽「いつか性別を自分で決められる日が来る」 「ある朝、目が覚めたら男性の体だったらいいのに」と思う時は確かにある。声で女性と判断した電話相手から「奥さん」と呼ばれることにはいらだちを覚える。