4月の実質賃金下落幅は予想以上に縮小もプラス転換にはなお時間
金融政策に与える影響は大きくない
今回の毎月勤労統計が、日本銀行の金融政策に直接与える影響は大きくはないだろう。4月分の所定内賃金上昇率及び実質賃金上昇率は予想を上回ったものの、所定内賃金上昇率のトレンドが従来の想定と比べてどうなるかについては、なお5月、6月分の統計を見る必要があるためだ。 ただし、今回の毎月勤労統計が、春闘で明らかとなった賃金上昇率の上振れ傾向が、中小・零細企業も含めて幅広く波及していることを改めて確認できたことは確かである。この点から、追加利上げなど、先行きの日本銀行の金融政策正常化を後押しする材料の一つとなる可能性はあるだろう。 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
木内 登英