<センバツ・夢へ続け!>柴田・支える人たち 声かけでチーム明るく たった一人のマネジャー奮闘 /宮城
「バッター1番。ショート、センター行ってまーす!」 昨秋の東北大会。打球の行方を伝える長山聖(ひじり)マネジャー(2年)の声が石巻市民球場に響き渡った。長山さんは大会で準優勝したチームを裏方で支え、選手と一緒に初の甲子園出場を喜んだ。 幼い頃、野球の審判をしていた親戚の家で甲子園やプロ野球・楽天の試合をテレビで一緒に眺めた。「こことは違う夏の『熱さ』がある」。中学では野球部がマネジャーを募集していなかったが、吹奏楽部に入部してトランペットで野球部の試合を応援した。 柴田に入学し、念願のマネジャーに。グラウンドの外でも積極的に部員に話しかけ、チームの雰囲気を明るくしてきた。二塁手の沼田(2年)は「落ち込んでいる時にも『元気出して』と声をかけてくれる」と感謝する。 現在、マネジャーは長山さん1人。毎日35~40合の米を炊いておにぎりをつくり、選手32人の空腹を満たしている。他にもタオルを洗濯したり監督のノックを手伝ったりと、頼まれたことは進んでこなしてきた。 一方で「遊びにも美容室にも行けない」と、今時の女子高生らしい悩みも。それでも、感謝の言葉をかけてくれる選手や保護者に支えられてきた。「『ありがとう』と言ってもらえると続けてよかったなと思えます」 長山さんから見て、今の柴田ナインは「兄弟みたいに仲が良く、あたたかいチーム」。センバツに向けて「チームの和を大切にして、日本一のチームになってほしいです」と期待している。【面川美栄】=随時掲載