【美浦便り】ブローザホーン=大谷くん?中野栄治元師が宝塚記念制覇の人馬をべた褒め
「ブローザホーンはね、もう大谷くんだよね~」 “ナカノ節”が飛び出しました。 上半期最後のJRA・G1宝塚記念はブローザホーンが勝利し、鞍上の菅原明良騎手(23=高木)はうれしいG1初制覇。26日の美浦トレセンでは、前日に続き、同騎手に祝福の嵐が起こっていました。その中の1人に、2月末で定年引退した中野栄治元調教師(71)の姿が。サングラスにジーパン、白シャツを第2ボタンまで開けたワイルドな身なりで「おめでとう! 完璧だったね」と、笑顔でがっちりと握手を交わしていました。 祝福の輪が解けるとベンチに腰かけ、解散まで管理した同馬について語っていただきました。初勝利は3歳6月末の函館、9戦目の遅咲きでした。 「クラシックに間に合わなかったことが、今となってはよかったのかもしれないね。無理していたら精神的にダメになっていたかも。5歳にして今が充実期だし、これからまだまだ伸びると思うよ」 420キロ台の小柄な体を目いっぱいに使い、着実に力をつけてきましたが、昨年の京都大賞典では心房細動で競走中止に。当時を振り返りました。 「獣医さんはその日のうちに『美浦へ帰っていいですよ』と言ってたけど、レースが月曜で、火曜まで動かすな、と担当に言ったんだよ。普通はしっかり薬とかで治療が必要だけど、ブローザは自分で回復できた。心肺機能がすごいなと感じたね」 23歳の鞍上とともに復帰初戦の日経新春杯で重賞初制覇。G2、G1で堅実な走りを見せ、キャリア21戦目でG1タイトルに手が届きました。 「この馬だけ耳をぴんと立てて集中して走れていたね。きれいな馬でしなやかさがあって、シャープさがあった。明良も自信をつけたと思うし、これからも馬を信じて、自分を信じて乗ればいいと思うよ。競馬は常に勝てるわけじゃないからね」 レース当日は「管理していた馬はご祝儀で買ってるんだよ」と単勝馬券を握り締めていたそう。「よし! 単勝でもうかった!って思ったよ」と笑顔が弾けます。 「梅雨入りが遅くて雨がすごかったのはいいなと思ったけど、ブローザは良馬場でも走れるんだよ。雨でもよし、晴れでもよし。まさに二刀流だね」 雨が降ったから勝てた、なんて言わせません。ここからどんな成長曲線、実績を積み上げてくれるのか。中野元師は「これからも楽しみだね」と最後まで笑顔で締めてくれました。【桑原幹久】