松井裕樹、パドレスと複数年契約で合意間近… プロ3年目で感じたストレートの使い方
楽天から海外FAしてメジャー移籍を目指す松井 裕樹投手(桐光学園)が移籍先として、カルフォニア州サンディエゴを本拠地とするパドレスと複数年契約で合意間近だと19日(日本時間20日)、現地メディアなどが報じた。パドレスには今年の3月にWBCでともにプレーしたダルビッシュ投手(東北)が所属している。 【楽天】早川隆久、松井裕樹らを1位指名 イーグルスの過去10年間の指名一覧 松井は3度の最多セーブに輝いた左腕。2013年にドラフト1位で楽天から指名、1年目の春季キャンプでは1軍でスタート。楽天の新人選手では、2007年の田中 将大投手(駒大苫小牧)以来2人目であった。1年目の成績は4勝8敗、奪三振126個とこの年の新人投手では最も多い奪三振数を記録している。2年目はシーズンを通して1軍のクローザーへ定着し、3勝2敗33セーブ12ホールド、防御率0.82という好成績を残した。 3年目も前年に続いてクローザーに起用され30セーブを記録し、球団初の1軍公式戦2年連続30セーブを達成した。さらに翌年のシーズンにも33セーブを記録し、NPB史上7人目の1軍公式戦3年連続シーズン30セーブを記録。プロ10年目の2023年4月5日には史上9人目となる通算200セーブを達成し、2022年にDeNAの山﨑 康晃(帝京)がマークした29歳10ヵ月を抜き、史上最年少となる27歳5ヵ月で達成した。 『高校野球ドットコム』ではプロ3年目を迎えた当時の松井にインタビューを行っている。松井の描くクローザー論を当時のインタビューを再構成してお届けしたい。 <インタビュー初掲2016年4月7日> **********
高校時代から握りは変わらない「ストレート」の理由
「高校時代はストレートより自信を持っていました。正直高校時代は『曲げとけば』ほぼ打たれなかったので、ストレートを極めるより楽をしている部分がありましたね」 松井投手のストレート話は桐光学園時代のこんな振り返りから始まった。「曲げとけば」はもちろんスライダーのこと。2年夏の甲子園では今治西(愛媛)相手に22奪三振という空前絶後の大偉業を達成。確かにその半分以上はスライダーだった。 それから5年。意外にもストレートの握り方は当時と全く変わっていない。「ストレートの握りって、そんなに細かく教わるものではないですよね?自己流で握って、合うかどうか、慣れていったらこんな形になった」と松井 裕樹投手。そのシンプルな握りになった裏付けもしっかりとしている。 「以前、牛島 和彦(現役時代は中日ドラゴンズ・ロッテオリオンズの両球団で最多セーブを計3度記録。後に横浜ベイスターズで監督)さんの本を読んだ時に「ボールの縫い目のかけ方によって回転数も変わってくる」という考えがあったんですが、そこも理解した上で自分は今の握りになっています。現在はこれがベストだと思いますね」 一方でストレートへの「考え方」は大きく変化している。2014年、ドラフト1位指名の肩書を持って胸を張って東北楽天ゴールデンイーグルスのユニフォームを着た松井 裕樹投手はいきなりプロの洗礼を浴びる。そこで彼はこう考えた。 「自信を持っていたスライダーを見極められる。スライダーでストライクが取れない。そこでストレートを投げなければいけないカウントになって、投げるとやはり打たれる。このサイクルでした。そこで自分の段階を上げるために考えたには『相手打者がストレートのタイミングで待っているときに打たれないようにしよう』ということなんです」 ストレート「質の向上」へのアプローチが始まった。