「アントニオ猪木さんの人を許す力ってすごいよ」獣神サンダー・ライガーは素顔時代に選手生命の危機に追い込まれていた【週刊プロレス】
マスクマンに変身してから30年以上も現役を続けた獣神サンダー・ライガーだが、選手生命の危機に立たされたこともあった。最後まで新日本プロレス一筋でレスラー生活を終えたが、実は素顔時代に処分を受ける寸前までいったという。それを救ったのはアントニオ猪木の一言だった(聞き手・橋爪哲也)。 アントニオ猪木、はぐれ国際軍団との1対3で大暴走
――猪木さんを意識していた弟子というと、橋本真也さんが思い浮かんできますけど……。 ライガー 意識してましたね。 ――ライガーさんの猪木さんに対する考えと違ってた部分はありましたか? ライガー そうですねえ……それぞれ自分なりの猪木イズムってあると思うんです。橋本は橋本で、それでいい。武藤(敬司)選手なら武藤選手、蝶野(正洋)選手なら蝶野選手。でも、俺の考えてる猪木イズムも間違ってねえよって。俺の猪木さんの捉え方は間違ってない、絶対。僕の中でアントニオ猪木は、ずうーーーーーーーっと神ですよ。すごい! ――どのあたりに猪木さんのすごさを感じました? ライガー 俺も若い時はバカばっかりやってたからね。猪木さん、よく許してくれたよ(苦笑)。俺があまりにも“おいた”して、ふざけ半分で若いヤツにいろんな悪さして……。 ――おもちゃにしてましたよね。 ライガー オイ! 言葉を濁して言ってんのに……。そんなことばっかりやってて、会社の中で議題に上がったらしいよ。「悪さばっかりしてるんで、どうしますか?」って。そしたら猪木さんが、「あいつはよく練習してる。とにかく練習は一生懸命やってるんで、もう少し様子を見よう」ってかばってくれたらしい。それを聞いた時、も猪木さんに足向けて寝れねえなって思ったよ。あとあとそれを聞いた時、うれしかったですよ。猪木さんの人を許す力ってすごいよ。猪木さんがかばってくれなかったら、俺はどうなってたか? 猪木さんのあのの一言で、俺の首はつながったのかもしれないね。 ――新日本プロレス6・9大阪城ホールで「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア」の決勝戦がIWGP世界ヘビー選手権試合を差し置いてメインに組まれたことは、ライガーさんにとっても感慨深いんじゃないですか? ライガー それは今の若い人たちが頑張った結果ですよ。そこで「ライガーさんから何かメッセージを」と言われれば、必ず言うのは「ケガだけはするなよ」。でも、ケガをするときはするけどね。今のプロレスは、今の若い選手がやってて、それをファンの人たちが支持してる。それがすべて。おじさんが首を突っ込んでああだこうだいう資格はない。ただ、ケガだけはすんなよ。ケガしたら全部パーになっちゃう。 ――そういえばライガーさんは長期欠場したケガといえば、足首骨折ぐらいですよね? ライガー あと脳腫瘍(1996年8月)。 ――それはケガじゃないですよ。 ライガー じゃあ、盲腸(1990年7月)かな? ――いや、それもケガじゃないです。 ライガー そっかあ……。 ――でも脳腫瘍の時も復帰は早かったですよね。1カ月ほどで復帰してます。しかも相手はワイルド・ペガサス。とても試運転というようなカードじゃないですし。 ライガー 一つ目の病院で言われたんですよ。「延髄の横、非常に危険な場所に影がある。パチンコ玉4つぐらいの大きさで、手術するにも気を遣う場所だ」「失敗する確率はないってとても言えない」「すぐにでも開頭手術しないといけない」「引退も考えないといけない」って。ほんと落ち込んだよ。でもその先生が、「今の医学は日進月歩で治療法も医療機器も発達してるんで、ほかの病院を紹介するんで、そこで診てもらいなさい」って。そう言われて東京女子医大を紹介してくれたんです。(つづく)
週刊プロレス編集部
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