黒瓦の景観守りたい 富山県氷見市の林さん、再建支援へ基金
元氷見市職員で、合同会社「空(くう)くくる」を運営する林美湖(よしこ)さん=同市伊勢大町=が、能登半島地震で被害を受けた住宅の屋根瓦を黒瓦で再建するための基金を設立し、資金集めに取り組んでいる。「氷見のすてきな景観に黒瓦が貢献していることを多くの人に知ってもらい、再建の際に黒瓦を選ぶきっかけにしてもらえたらうれしい」と話す。 新潟県の佐渡島出身の林さんは、横浜市職員などを経て2016年に氷見の景観に魅せられ移住した。21年7月まで氷見市職員として働き、当時から氷見の気候や風土に合った黒瓦の景観を守る基金の必要性を感じていたという。 地震を受けて思いを強くし、3月に個人で「黒瓦ファンド」を設立した。東京で開いたイベントの収益の一部や寄付を充てるほか、氷見市中心街の北の橋で年4回開いている「きたのはしマルシェ」の出店者にも協力してもらい、資金を増やしていく考え。場合によってはクラウドファンディングも行う。
市内では5月から公費解体が本格化するものの、液状化対策の方向性はまだ固まっていない。「住宅再建が本格化するまでにお金をため、平方メートル当たりいくら支援できるかなど制度設計をしたい」と考える。 地震の被害が大きい石川県の珠洲市や輪島市でも同様の動きがあるといい「能登半島の付け根の氷見から先端まで黒瓦のすてきな町並みをお互いに励まし合って直していけたらと思う」と話している。