最初の利下げは英中銀か、英国債に割安さ「目立つ」-ジュピター
(ブルームバーグ): イングランド銀行(英中央銀行)が米国や欧州大陸に先駆けて利下げすると見込む投資家にとって、英国債は割安な可能性がある。
ジュピター・アセット・マネジメントやピクテ・アセット・マネジメント、カンドリアムのストラテジストやファンドマネジャーによると、市場は英中銀が他の主要中銀よりも速いペース、かつ大幅に利下げする可能性を依然として低く織り込んでいる。
ピクテのチーフストラテジスト、ルカ・パオリーニ氏は「英中銀が最初に利下げに踏み切ることはあり得る」と述べ、「まだかなりの不況にあることを考えると、英国はおそらく他国よりも利下げを必要としている。その必要性は欧州以上かもしれない」と続けた。
英国のインフレ率が2月に予想以上に低下したことから、英中銀当局者の中で特にタカ派寄りの2人は利上げ支持を撤回した。
しかし英10年債利回りは同年限のドイツ債のほぼ2倍で、そのスプレッドは5年平均を大幅に上回る。
カンドリアムのシニア・ファンドマネジャー、ジェイミー・ニーブン氏は3月以降、英利下げを見込んだエクスポージャーを積み増しており、ポンドに対してはショートポジションを建てている。同氏によれば、市場は英中銀による今年の緩和を過小評価している。
ニーブン氏は「6月利下げの可能性はかなり高い。実際のところ、5月利下げの可能性も完全に排除することはしない」と述べ、金融政策委員会の規模が欧州中央銀行(ECB)と比べて小さい英中銀はより「機敏」だと指摘した。
ただ、短期金融市場は英中銀が最初に利下げに踏み切ることをそれほど確信していない。英中銀による6月の0.25ポイント初回利下げの確率は70%なのに対し、ECBは約90%。米連邦公開市場委員会(FOMC)については50%に近い水準が織り込まれている。
ジュピターの債券マネジャー、ハリー・リチャーズ氏は英国債へのエクスポージャーを拡大している。同氏は「中長期の国債利回りがほぼ同じような水準にあるとしても、英国の利下げの必要性は米国よりも差し迫っている」と述べ、「英国債は割安さが目立っている」と続けた。