「串カツ田中」も「平均年収1783万円企業」も大幅賃上げ2024年春闘スタート 賃上げ気運高まる【WBS】
賃上げなどの労働条件をめぐる交渉、2024年の春闘が24日、事実上始まりました。去年の3%台を上回る賃上げとなるのでしょうか。そうした中、先手先手で賃上げに踏み切る企業も増えています。 【動画】24年春闘 実質スタート 日が落ち、提灯が灯る東京・銀座の「串カツ田中」。景気のいい声が響く店内で、手際よく串カツを揚げていくのは店長の上嶋理久さん。実は最近嬉しいことがあったそうです。 「物価が上がり、食費が高くなっている。賃上げで前より生活が少し楽になる」(上嶋さん) 外食チェーンを運営する串カツ田中ホールディングスは1月、正社員およそ400人を対象に、平均5%の大幅な賃上げを決定したのです。業績に応じた手当も含めると、賃上げ率は最大18%に上ります。先週金曜日、上島さんにも賃上げ以降初めての給料が支給されました。 「マジかという感じで上がっていた。嬉しい。思ったより上がった」(上嶋さん) 賃上げができた背景には、堅調な外食需要があります。コロナ禍の2020年から3年連続で営業赤字に陥っていた串カツ田中。2023年11月までの1年間の営業利益は7億6300万円と4年ぶりに黒字転換しました。 人手不足に悩む外食産業。串カツ田中では、アルバイトの時給についても引き上げを検討していて、業績を見ながら判断するとしています。 串カツ田中ホールディングスの坂本壽男社長は「待遇アップによる社員の定着率や新規採用にも効果がある。賃上げは継続的にやっていきたい。終わりはない。一緒に働く仲間には、幸せになってほしい」と話します。
"賃上げ春闘"が幕開け 上げ幅は?
外食企業が先行して賃上げを進める中、経団連は24日、労使フォーラムを開き、春闘が事実上スタートしました。中国を訪問している経団連の十倉会長はビデオメッセージで「今年は昨年以上の熱量と決意をもって、物価上昇に負けない賃金引き上げを目指すことが、経団連、企業の社会的責務と考えている」と去年以上の賃上げを経営陣に呼びかけました。 労働組合の中央組織「連合」の芳野会長も「前年を上回る賃上げを目指す。賃上げ分3%以上、定期昇給分を含め5%以上の賃上げを目指す」としています。 人手不足に悩む流通や外食などの産業別の労働組合からは、さらに高い要求も出ています。 「今回の春闘は6%基準。基本的には6%は要求する」(小売業などの労組で構成する「UAゼンセン」の松浦昭彦会長) こうした中、大手企業は賃上げの動きを加速しています。24日、決算発表に登場したモーター大手「ニデック」の永守重信会長は「今年は初任給を15%上げる。全体の賃上げは一応5%で準備している」と話しました。 労使双方で高まる賃上げの機運。街の人の期待も高まっています。 「去年と同じぐらい上がってもらわないときつい。理想を言えば5%から10%は上がってもらわないと生活が厳しい」(金融業界) 「うちの業界だと去年、うち以外の競合は3%上がった。それぐらいはほしい。(賃金が上がったら)結婚を控えているので、指輪の頭金にしたい」(保険業界) 「ほぼ定額なのでたぶん4500円ぐらいしか上がらない。(上がったら)新NISA。今もやっているが、もっと増やしていきたい」(食肉業界) 物価と賃金が揃って上昇する好循環を目指し、政府も後押しします。 「個別に労使が交渉して合意をした上で決定されるべきものだが、最大限の賃上げを期待したい」(林官房長官)