「この代は自分たち」大阪桐蔭・川原嗣貴、意地の完投 センバツ
第94回選抜高校野球大会は第6日の24日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で1回戦の最後の試合が行われ、昨秋の明治神宮大会王者の大阪桐蔭が鳴門(徳島)を3―1で破り、優勝した2018年以来、4年ぶりに初戦を突破した。3年生右腕の川原嗣貴(しき、3年)が1失点で完投した。 【熱戦を写真で】鳴門vs大阪桐蔭 ◇ 優勝候補の大阪桐蔭は、試合前から鳴門の選手たちを驚かせた。先発は昨秋の主戦の2年生左腕・前田ではなく、3年生右腕の川原だった。だが、それは決して奇策ではなかった。 2点を先取した直後の四回。1死から鳴門の3番・井川の止めたバットに当たった打球が左翼線二塁打になり、4番・前田には死球。得点が入ると試合が動くのが野球の流れだが、やはりピンチになった。ここで踏みとどまれたのは、直球と見分けがつかないカットボールと昨夏の経験がある。 昨夏の甲子園の2回戦の近江(滋賀)戦では同点の八回に登板し、制球が乱れて2失点し、敗れた。その重圧を経験しているからこそ「走者が出ても冷静に考えられる」。 右打ちの5番・藤中に対し、1ボールから外角のカットボールを続け、最後は136キロで右飛に打ち取った。6番・土肥もカットボールで中飛に仕留めた。この得意球を投球の軸にして、1失点で完投した。 昨秋、大事な試合で先発を託されるのは前田だった。悔しくないはずがない。「上級生の意地がある。どれだけ後輩が出てこようと、この代は自分たちの学年」と強調する。その思いは行動に出る。西谷監督は川原を先発にした決め手を「ブルペンでも考えて投げていたり、どのように大会に調子を合わせるかなど、いい準備をしていた」と明かす。先発を告げたのは試合当日の朝だが「僕の中ではその前に決まっていた」というほど信頼を勝ち得ていた。 「(チームに)弾みをつけられる投球ができた」と充実感をにじませた川原。1回戦最後の登場で最も日程が厳しいゾーンを勝ち抜くために必要な、他の投手の温存とチームを勢いづける二つの仕事を背番号「10」がやってのけた。【安田光高】 ◇全31試合をライブ中継 公式サイト「センバツLIVE!」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2022)では大会期間中、全31試合を動画中継します。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/hsb_spring/)でも展開します。