職人二刀流で復興支援 被災地で瓦屋根直す すし握って物資募る
●高岡の中村さん、砺波で昼食会 瓦職人を本職にしながら、すし職人の顔も持つ高岡市の中村享さん(48)が能登の震災・豪雨からの復興に役立ちたいと支援物資を募る昼食会を企画した。本業で富山県内の被災家屋の屋根修復に追われる日々が続く中、16日に砺波市中野の居酒屋「十五代仁左衛門」で開催し、能登産の魚介類を使った握りや巻き寿司を提供した。被災地に思いを寄せ、「能登の元気は私の元気」と胸に刻んだ。 中村さんは高岡市で自営の瓦職人として働くが、30代のころは高岡市内の寿司店などで板前として働いていた。仁左衛門の店主太田行隆代表(65)が叔父に当たることから、要望に応じて、これまでも手伝いで厨房に入ることがあった。 1月の能登半島地震後は氷見市や射水市、高岡市の被災家屋の修復依頼に追われ、9カ月たった今も依頼が途絶える気配はない。ただ、昨年5月に能登で最大震度6強の地震が起きた際には珠洲市で屋根の修復に関わったため、能登の被災地を気に掛けていた。仁左衛門の昼食会は能登半島地震の発生後、北陸の食材を使うことで能登を応援しようと月1回程度開催してきた。 9月には能登が豪雨に襲われ、二重被災に心を痛めた。そこで今回は復興につながる物資の提供を参加条件に昼食会を開催することにした。15、16日の2日間は各20人で埋まり、シャツや下着、タオル、ジャンパー、ティッシュペーパーなどの物資が寄せられた。 中村さんは厨房で、能登産スズキやアマエビのほか、ブリ、アオリイカ、ベニズワイガニ、マグロなどをさばいて、握り立てのすしを提供した。 砺波市内から参加した女性は「被災した能登のことを思うのはとてもいいことだ」と趣旨に賛同した。 中村さんは支援物資を近く輪島市に届けることにしており、「機会があれば被災地ですしを握ることも考えたい」と話した。