”シラミのような寄生虫”に身体を蝕まれる地獄の《尋問室》…「拷問」や「殴打」は当たり前の、イラン刑務所の中で「最も恐ろしい場所」
女性たちが電気ショックを受けていた
――お子さんと一緒に逮捕されましたね。家族が逮捕されたことは、あなたにどう影響したと思いますか? ナジラ:息子のキアラシュは私と一緒に逮捕されたの。当時20歳。長いこと息子がどうなったのか分からなかった。一番の心配事は息子の健康状態ね。 初めて夫との電話を許可されたとき、開口一番にキアラシュがどうなったのか尋ねたわ。逮捕されるとき息子は撃たれ、私が最後に見たあの子は大怪我を負っていたのよ。そのずっとあとで、息子がシャプールの独房に3ヵ月拘禁され、劣悪な環境を耐え忍んだということが分かったわ。私たちが逮捕されたのは2018年2月で、キアラシュはその後1ヵ月間、独房で拘禁され、服を着替えることも許されなかったそうよ。 ――あなたは拘禁中に同室者がいない時期がしばらくありましたね。その期間についての話を聞かせてください。 私は病院で掻爬の手術を受けたの。刑務所に送り帰されるとき、それまでとは別の独房に入れられ、そこではたったひとりだった。隣の独房にいた女性から聞いたのだけど、神秘主義者の女性たちがエントランスで電気ショックを受けていたんですって。彼女はその瞬間を見たと言っていたわ。私の独房はエントランスから4部屋しか離れていなかったから、確かに電気ショックの音が聞こえた。 私は病院から独房に移送されたとき、術後の出血がまだおさまっていなかった。せめて水だけでももらえないかと看守に頼んだけれど、その後2日間、食べ物も水ももらえず、誰も私の様子をチェックしに来なかった。そこでドライ・ハンガーストライキを始めたの。怒り心頭よ。通路で座り込みとハンガーストライキをしている神秘主義者の女性たちが虐待されていることに対して、そして私の扱いに対して。 病院の手術から帰って来たばかりで体が弱っていた私に必要だったのは、看病と衛生的な環境でしょ。それなのに石けんやシャンプーすらもらえず、衛生設備の何ひとつない独房に入れられたんだから。 ドライ・ハンガーストライキの4日目、高熱が出たわ。病院には行かなかったし、看守に熱や血圧を測ったりもさせなかった。看守がショコウフェを連れてきて、グラスに入ったきれいな水を彼女から私に渡させて、ストライキをやめるよう説得したの。私はストライキをやめて、その後11日間拘禁されたわ。 翻訳:星薫子 『「服をびりびりに破かれた」「”電流棒”で何度も突かれて、感覚がなくなった」...イランの刑務所で女性に対して行われた「地獄の拷問」』へ続く
ナルゲス・モハンマディ(イラン・イスラム共和国の人権活動家・ノーベル平和賞受賞者)