転居時にかなりの退去費用を求められ、トラブルになりたくなかったので請求分を支払いました。引っ越しのために毎回こんなに出費があるのでしょうか?
賃貸物件を引き払う際、原状回復する費用を巡るトラブルが発生するケースは珍しくありません。引っ越しを控えているものの、「退去費用でトラブルになったらどうしよう」と不安を抱えている人もいるでしょう。 本記事では、賃貸契約における原状回復の義務の定義や、貸主・借主のそれぞれの負担で修繕する損傷の一例などを紹介します。
賃貸契約における原状回復義務とは?
賃貸物件を借りる際、多くの物件で原状回復の義務を定めています。言葉通りに解釈すれば「入居時の状態に戻すこと」ですが、長い間、部屋を借りていれば経年による劣化は避けられません。 そこで、国土交通省のガイドラインでは、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定めています。 したがって、経年劣化などで生じた色あせなどは、大家さんやオーナーの負担で修繕を行います。賃借人が、借りたときのような状態に戻す義務はありません。 ■貸主の負担で修繕する損傷の一例 貸主の負担で修繕する損傷の一例は、以下のとおりです。 ・経年劣化による色あせ・変色、劣化などの損傷 ・家具や家電製品の設置による床のへこみや跡 ・備え付けの家具・家電の劣化 暮らしていくうえで避けられない設備の損傷や経年劣化などは、借主が負担する必要はありません。また、入居したときにすでに付いていた傷なども同様です。例えば、10年住んでいた家を退去する際に畳やフローリングが日焼けしたり劣化したりしていても、賃借人に責任はありません。 ■借主側の負担で修繕する損傷の一例 借主側が修繕費用を負担する損傷の一例としては、以下のようなものが挙げられます。 ・故意や過失で損傷した設備や内装の修理代 ・大家さんやオーナー会社に報告を怠ったために被害が拡大した住宅の損傷 例えば、子どもが硬いおもちゃをフローリングに投げて付いた傷や、家具を引きずってできた傷や汚れなどは、借主の責任で直す必要があります。 また、煙草を室内で吸ったために部屋がヤニで汚れていたり、ペットの臭いが残っていたりしたなどの場合は、クリーニング代を余計に請求されるケースもあるでしょう。このほか、雨漏りが発生しているのに大家さんや管理会社に報告せず、被害が拡大した場合も修繕費を請求される場合もあります。