【ドラクエ3リメイク】HD-2D版のキーパーソンにロングインタビュー。HD-2Dリメイクの狙い、まもの使い誕生秘話、パッケージイラストに込めた想い……気になることを直撃!【HD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』】
2024年11月14日、ついにHD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(以下、『DQIII』)が、スクウェア・エニックスよりNintendo Switch、プレイステーション5(PS5)、Xbox Series X|S、PC向けに発売されました。 【記事の画像(44枚)を見る】 ※Steam版は11月15日発売 1988年にファミリーコンピュータ版が発売されてから36年が経ちましたが、『DQIII』はゲーム史に残るRPGの名作として、いまもなお語り継がれています。そんな『DQIII』が、ドット絵と3DCGを融合させた、なつかしくも新しいHD-2Dの映像表現で蘇りました。 そこで今回、本作の発売を記念して、HD-2D版『DQIII』でプロデューサーを務めたスクウェア・エニックスの早坂将昭氏、そしてパッケージイラストレーションを担当した生島直樹氏のロングインタビューをお届けします。 開発の経緯だけでなく、堀井雄二氏とのエピソードや新要素の誕生秘話、そして誰もが驚いたパッケージイラストに込めた想いまで、本作の狙いと魅力が凝縮された内容となっています。HD-2D版『DQIII』が往年のファンだけではなく、新しい冒険者も惹きつけている理由が、このインタビューを一読すればわかるはず! 早坂将昭(はやさか・まさあき): スクウェア・エニックス所属。『オクトパストラベラー』や『ブレイブリーデフォルト』、『ライブアライブ』などを手掛けた浅野智也氏が率いる制作班“浅野チーム”で、プロデューサーを務める。HD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』でプロデューサーを担当。 生島直樹(いくしま・なおき): スクウェア・エニックス所属。浅野チームにてデザインを担当し、『オクトパストラベラー』のキャラクターデザイン・コンセプトアート、『ライブアライブ』のメインビジュアルなどを手掛ける。HD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』でパッケージイラストレーションを担当。 原作を大事にしつつ新しい風を吹き込んだ ――まずは『DQIII』をHD-2Dでリメイクすることになった経緯をお聞かせください。: 早坂: ファミリーコンピュータ版が1988年に発売されて、スーパーファミコンで発売されたリメイク版をもとにしたものがNintendo Switchとプレイステーション4、スマートフォンで配信されていますが、スーパーファミコン版は1996年に発売されたタイトルです。なので、いわば28年前のものになります。 そんな中で、『オクトパストラベラー』で“HD-2D”という表現が生まれて多くの方に受け入れられたこともあり、「『DQIII』をHD-2Dでリメイクするのはどうか」というアイデアが社内で挙がって、その話が僕ら浅野チームに来た、という経緯ですね。 ――徐々に明らかになる情報やトレーラーを観たり、実際にプレイさせていただいたりする中で、『DQIII』がHD-2Dで見事に表現されていることに驚きつつ、「これはすごくいいんじゃないか!?」と感じました。ただ、HD-2Dでリメイクと簡単に言っても、もとがゲーム史に残る名作なので、やはりプレイヤーの目もきびしくなることは理解されていたと思います。リメイクの話がきたとき、開発者として率直にどう思われましたか? 早坂: レジェンドタイトルということはもちろん理解していたので、「これが失敗したら僕はこの業界にいられない。“レジェンドタイトルのリメイクを失敗させた男”という烙印を押されて生きていくことになる」というプレッシャーを、いちばんに感じましたね(笑)。 ――ちなみに早坂さんと生島さんは、ファミリーコンピュータ版もしくはリメイク版の『DQIII』をプレイされたことはあるのでしょうか? 生島: 私は小学校低学年のときにファミリーコンピュータ版を遊びました。 『DQIII』のパッケージはいちばんかっこいいと、いまも思っています。鳥山明先生の作品で育った世代ですし、モノ作りというか、創造する楽しさを鳥山先生の作品で学ばせていただいたところもあります。 『DQI』と『DQII』のパッケージもかっこよかったのですが、『DQIII』のパッケージイラストにはとにかく心をつかまれたんです。あのパッケージを見て、自分も『DQIII』をプレイすると決めたのですが、そもそも文字を読むゲームはこれが初めてで……。それまでは『マリオ』のようなアクションゲームばかり遊んでいたので、アリアハンの王様の話を全部読まず、仲間がいない状態でひとり旅に出て、つぎの村へ行く前に全滅する。これがあたりまえの毎日でした(笑)。 ファミリーコンピュータ版のパッケージ。 ――それはきびしいですね。わからなくもないですが(笑)。: 生島: ある日、学校で友だちが「酒場に行くと仲間がいるんだよ」と教えてくれて。格闘技が好きなので、さっそく“ルイーダの酒場”に行って、仲間を3人全員、武闘家にしたんです。“やくそう”で荷物をパンパンにして冒険していたのですが、そこで回復呪文のたいせつさを知りました(笑)。 つぎに学んだのは、パーティには役割分担があり、それを考えて仲間を決めなければいけない、ということです。アクションゲームのような反射神経を必要とするものではない、頭を使うゲームがあるんだと知りました。『DQIII』で、人生には役割を考えて行動することも大事であることを教えてもらいましたね。 ――武闘家だらけのパーティは、子どもならではの発想ですね。 早坂: そんな“「ドラゴンクエスト」すべらない話”を持っていたとは(笑)。 生島: 文章を読むのが得意ではなく、絵本の絵だけを楽しむような子どもだったんです。だから、自由帳に鳥山先生をまねた絵を描いたり、キャラクターを勝手に想像して描いたりしていましたね。 里山で“ドラゴンクエストごっこ”もしていました。みんなが勇者をやりたいから、交代で勇者になって連れ立って歩くゲームの感じを再現していました。もちろん私は率先して武闘家をやっていましたが(笑)。 ――生島さんが初めてプレイしたRPGは『DQIII』ということですね。 生島: はい。すごく刺激を受けました。 ――『DQI』、『DQII』を先に遊んでいたならともかく、あの時代に、しかも子どもで『DQIII』のパーティというシステムは難しかったかも。 生島: バトルのときはパーティの仲間が画面に映らないところに、大きな想像力を抱きました。画面にはいないのに、仲間の攻撃がモンスターに当たったことがイメージできる。これはすごいことです。 ゲームを通じて想像力を鍛えられたので、ある意味でいい世代だったなと思います。描かないからこそ想像する余地があって、すごくイメージする力を育ててもらいました! 早坂: 私は1990年生まれで、ファミリーコンピュータ版が出たのは1988年なので、生島のようなリアルタイムで遊んだ思い出はありません。今回のHD-2D版にあたって、あらためて 『DQI』から『DQIII』を順番にプレイしたのですが、やはりバラモスを倒したときやその後の展開は、当時の皆さんと同じような驚きを感じました。 ――あの展開は衝撃で、当時も「こういうことなのか!」とみんなが口を揃えて驚いていました。それから2017年になって『DQXI』をプレイして、また驚かされるという……。 早坂: そうですね。私も驚きました。 ――詳細はあえて明かしませんが、まだ知らない人はぜひ確かめてほしいですね。話がそれてしまいましたが、“HD-2Dで開発してほしい”というオーダーが来たとき、「3Dでやらないんだ」とは思いませんでしたか? 早坂: 最初は3Dというアイデアもあったようですが、やはり3Dにすると原作とは体験が大きく変わってしまう、それよりはなつかしさと新しさを両立できるHD-2Dのほうがいいという判断だったと思います。 堀井さん(堀井雄二氏。『ドラゴンクエスト』シリーズ生みの親であるゲームデザイナー)にも、そういったHD-2Dのよさの部分をご提案して、承認していただきました。 ――HD-2D版は2021年に制作が発表され、同時にティザー映像が公開されましたが、現在のバージョンを見ると戦闘シーンの表現が大きく変わった印象があります。あの発表当時から現在にいたるまでのあいだにコンセプトが変わったのですか? 早坂: 原作を尊重して、可能な限りそのまま再現するというコンセプトは変えていませんね。開発当初からずっと一貫しています。 バトルシーンについてお話すると、カメラの位置やモンスターの大きさ、キャラクターの頭身、背景の広さなどが変わっているので、それの積み重ねによって大きく変わった印象になっているのかな、と推察します。あらためて最初のティザーを見返すと、バトル以外もかなりいろいろ変わっていますね。なつかしいです。 ――ファミリーコンピュータ版やスーパーファミコン版は2Dで俯瞰視点でしたが、それをHD-2Dにすることに難しさはありましたか?: 早坂: 2Dを3Dに変換する際にもっとも苦労したのが、マップの広さです。2021年の制作発表時のものがバージョン1だとすると、最終版はバージョン4くらいで、広さやカメラ角度、色味など、相当なテコ入れをしていまに至っています。 広くしすぎても間延びしますし、だからといってコンパクトにし過ぎると原作と印象が変わらず、“新しいモノ”に見えないので本当にたいへんでした。もちろん、町やダンジョンもかなりの試行錯誤と紆余曲折を経て、いまに至っています。 ――アリアハンの城下町を歩いたときですら、広さをとても感じましたから。だからと言ってマップが緩慢になったわけではなく密度もあって、心地よく遊べました。 早坂: リメイクなのでプレイフィールをまったくのゼロベースで一新するわけにはいきませんが、「新しいよね、変わったね」というのはしっかり感じていただきたかったんです。開発過程でフィールドは広くなっていきましたが、前述の通り、ただ広くすればいいというものではないので、調整を重ねて、ようやく現在のバランスに落ち着きました。 ――ダッシュが追加されたのも、それが理由ですか? 早坂: そうですね。最初はダッシュを実装していなかったのですが、フィールドが広くなるにつれてダッシュは必要だろうとなりました。 ――フィールドから町などに入るときも、入れる場所が決まっていたり、西から入ったら町も西から入れたりする細かい仕様になっているのは、とてもいいですよね。 早坂: プランナーから「いまのゲームとして、自分が入ったところ、出たところははっきり対応すべきでは」という話が挙がったのですが、私は「それはいらないのでは?」と最初は思ったんです。 たとえばフィールドでバトルして全滅しそうになったとき、町へ入ろうとして、すぐに入れなかったらストレスになるし、町の南側にいて西の入口へたどり着く前にモンスターに襲われたらどうするんだ、と。でも、町も広くなっていることをわかりやすく示すには確かにいい手法だと考え、堀井さんからもオーケーをいただけたので、この形を採用しました。 ――堀井さんのお話が出たのでお聞きします。堀井さんとは何度もやり取りをされたと思いますが、その中で印象に残っているエピソードや、堀井さんのゲーム作りに対する視点などを感じたことはありますか?: 早坂: たくさんあるのですが、開発初期で印象に残っている話があります。“ナジミの塔”のプロトタイプを作ることになり、マップの表現をどのように変えようかと試していたとき、道順がかなりわかりにくい構造になっていたんです。 そこで、いったん堀井さんにテスト版を触っていただいたところ、「それなら、どこかに“老人はこちら”みたいな看板を立てればいいんじゃないのかな」とアドバイスをいただきました。最終的に看板のアイデアは実装されませんでしたが、そのときに開発一同は「こんな解決方法があるのか」と、ものすごい衝撃を受けまして。 もちろん私たちもいろいろ考えてゲームを作っているのですが、世界観を大事にしようとするあまりに、結果として行き詰まってしまうこともあります。そこを、堀井さんはすごくシンプルでわかりやすい方法を提示してくれて。そのときに、堀井さんはユーザー視点でゲームを作られていること、わかりやすさをたいせつにしていることをあらためて感じましたね。 ――“『ドラゴンクエスト』は誰でも遊べるゲームであるべき”だと、堀井さんはずっとおっしゃっていますから。: 早坂: そうですね。開発初期に「堀井さんはこういう視点でゲームを作っているんだ」ということを実感できたのはよかったと思います。あのときの衝撃は一生忘れないでしょうね。 ――本作にはヒント機能や“おたすけ”機能などのユーザーをサポートする機能が充実していますが、これも堀井さんからのアイデアなのでしょうか? 早坂: ヒント機能などは私たちからのアイデアです。原作の体験を可能な限り大事にするというコンセプトはありつつも、原作では触りづらかったところ、遊びにくかったところは徹底的に変えていこうと思っていました。 ヒント機能など、いまのゲームにはあたりまえにある機能は本作にも入れたいと堀井さんに相談したところ、すぐにご承諾いただけました。 ――いろいろな要素が加わっていますが、やはり職業のキャラクターメイクが充実化していること、イベントシーンのボイス追加、そしてオーケストラ音源の採用によって、こんなにも印象が変わるんだ! と驚きました。これらの変更点に関しても、堀井さんとブレストしながら作り上げていったのでしょうか?: 早坂: もちろん堀井さんと相談して決めていったものですが、基本的には「原作のままではいまのプレイヤーは遊びにくいかも」と思われる部分は変えようという発想で追加されたものです。 最近のゲームは、ものすごく細かい部分までキャラクターメイキングが可能ですよね。でも、原作の『DQIII』では、たとえば武闘家から魔法使いに転職すると、急にキャラクターが若者からおじいちゃんになってしまう。これに、いまのプレイヤーはとまどうかもしれないと思いました。 そこで私が「こういうキャラクターメイキングの機能を加えたい」という概要の仕様を、3ヵ月くらいかけて作って開発チームに提案したのですが、最初は「いろいろなところに影響が出るからやめてくれ」とかなり反対されまして(笑)。でも、「必ずみんなが喜んでくれるから!」とチームを説得して実現したんです。そんな経緯があるので、個人的には本作のキャラメイクにはとても思い入れがありますね。 ――いまの話でふと思ったのですが、本作では転職するときに見た目を選び直せるんですか?: 早坂: 転職時に選び直しはできません。各職業にルックスA、Bで各4パターンがありますが、たとえばいちばん左にあるルックスを選べば、転職してもいちばん左のルックスが引き継がれるような見た目になります。最初におじいちゃんタイプを選んだら、転職しても見た目はおじいちゃんのまま、ということですね。 自分が最初に「これがいい」と選んだキャラクターですし、転職ができるころには愛着も生まれているでしょうから、それを維持できるようにという想いから、この仕様にしました。ただ、途中で変えたくなることがあるのもわかるので、本作ではダーマの神殿にいる新キャラクターの“ホミちょ”にいくばくかのゴールドを払えば、冒険の途中でも見た目を変えられるようにもしています。 ――オーケストラ音源に関してはいかがでしょうか?: 早坂: ファミリーコンピュータやスーパーファミコンの音源もすばらしいのですが、いまのゲームは生音が多く採用されています。私がサウンドディレクションを務めた 『オクトパストラベラー』でオーケストラによる生音を採用して好評だったという実績もあり、本作でもオーケストラ音源を採用させていただきました。 ――原作の音楽もすばらしいのですが、オーケストラ音源によって体験が深まることは確かですね。ちなみに早坂さんは、すぎやまこういち先生の曲にどのような印象をお持ちですか? 早坂: すぎやま先生は生前のインタビューで「聴き減りしない音楽にするためにクラシックを取り入れた」とおっしゃっていましたが、単にクラシック風の曲調にしているだけではなく、そこに先生の稀代のメロディメーカーとしての才能があってこそ、メロディの圧倒的な良さ=強度が加わって、聴き減りのしない音楽というのが生まれたのだろうと思っています。 いつの時代だって、名曲と呼ばれるのは優れたメロディを持った楽曲です。自分はサウンドディレクションをするとき、メロディ絶対主義と言っても過言ではないぐらい、“良いメロディ”になっているかどうかを最重視します。『オクトパストラベラー』もまさにその信念をもって取り組んだタイトルです。その自分にとっての教科書のひとつが、すぎやま先生の作られた『ドラゴンクエスト』の楽曲たちなんです。 私が言うまでもなく『DQIII』は本当に名曲ばかりが揃っていて、プロデューサーとしても、いち音楽人としても、そのようなタイトルに携われることができて本当に幸せだと思います。 いまのゲームとして受け入れてもらえるとうれしい ――いろいろなポイントが変わっているHD-2D版ですが、原作を触った世代ほど、プレイすると「変わっているけれどこれはやっぱり『DQIII』だ」と感じることに衝撃を受けると思います。: 早坂: そう言っていただけるとうれしいですね。そのように、違和感なく感じていただけることを本当に狙っているので。 ――逆に、シリーズの未経験者が本作で初めて『ドラゴンクエスト』をプレイして、どう感じるかが気になります。 早坂: いまどきのゲームとして「こういう感じなのね」と、こちらもナチュラルに受け入れていただけるとうれしいですね。 ――メッセージをすべてひらがなにする“ひらがなモード”と漢字にフリガナをつける“ふりがなモード”も設定できるので、それこそ幅広い年齢層にプレイしてもらえると思います。 早坂: ファミリーコンピュータ版がひらがなとカタカナだけだったので、ファミリーコンピュータ版の再現にもつながるという狙いもあるのですが、それこそ小さなお子さんにも遊んでもらえたら、と思って実装しました。 リメイクですので、やはり原作を遊んだことのある……それこそ当時、小学生だった生島のような年齢の方々がメインターゲットになります。そんな、当時プレイしていた方々も、いまは人の親になっている方も多くいらっしゃることと思いますし、それこそオルテガと主人公ではありませんが、親が買った『DQIII』をそのお子さんがプレイするというような、親から子へ受け継がれていく流れが生まれたらうれしいですね。 ――すごくキレイにまとめましたね(笑)。: 早坂: クリスマスやお正月に近い時期に発売されるので、ぜひお子さんへのプレゼントに(笑)。 ――発売されるプラットフォームが多いところに、幅広い世代の人に遊んでもらいたいという思いと、世界市場を視野に入れているという狙いを感じました。 早坂: HD-2Dの表現は、とくに海外の評価が高かったんですよね。なので、この機会に海外にもさらに 『DQ』を広げたいと思っています。海外はまだまだ「DQ」の魅力を広げられる余地がたくさんある市場ですので、このHD-2D版『DQIII』を皮切りに、さらに『DQ』が拡がっていってくれたらなと思います。 ――それこそ『オクトパストラベラー』から続くHD-2D作品の開発でそのノウハウは蓄積されてきたと思いますが、本作でその経験が活きた、もしくはさらに進化させたポイントはありますか? 早坂: 私は 『オクトパストラベラー』で企画立ち上げから参加していたので、HD-2Dがどうやって生まれて、どのように受け入れられてきたか、その一部始終を見てきました。その肌感を活かして開発にすぐに取り掛かれたことは、経験を活かせたポイントのひとつだと思います。 あとはどちらかというと、今回はHD-2Dへの知見があったことで「ここを変えなければいけない」というポイントがわかったことは大きいです。これまでのHD-2Dのタイトルは、いずれも旧スクウェアの系譜を継いだ色味やテイストでした。『DQ』は旧エニックスの系譜というか、これまでのタイトルとは異なる温かい色味、カラフルさなどの、いわゆる“『ドラゴンクエスト』らしさ”というものがあります。 早坂: いままでと同じように作ったら“ 『ドラゴンクエスト』らしさ”が失われてしまうことはすぐわかりましたし、そういった“『ドラゴンクエスト』らしさ”を出すためにはどうすればいいのか、そのアイデアや方法は、いままでのノウハウを把握していたからこそ、うまく表現できたのではないでしょうか。 ――その“らしさ”には色味が大きな意味を持つのでしょうか? この表現が正しいかはわかりませんが、寒色と暖色の違いのような……。 早坂: 色味は大きいと思いますね。私個人の印象で言うと“ 『ファイナルファンタジー』は寒色系、『ドラゴンクエスト』は暖色系”というイメージかもしれません。 パッケージイラストの主人公の背後には仲間たちが……!? ――HD-2D版『DQIII』のパッケージイラストを見たときは驚きました。反響も大きかったと思うのですが、どのような経緯で生島さんがパッケージイラストレーションを担当されることになったのでしょうか?: 生島: 鳥山先生がお亡くなりになったことで、新しいアートを描いていただくことはできなくなりました。社内でもパッケージイラストをどうするのかは協議していましたが、この作品は 『DQIII』であると同時にHD-2Dのリメイクタイトルであることから、「新しい挑戦をしてみよう」と、浅野チームでデザインを担当してきた私が描かせてもらえることになりました。 ――イラストを見たときに「これは『DQIII』だ」とすぐにわかりましたし、その想いが伝わってきました。イラストを描くにあたってビジョンはあったのですか?: 生島: 『ドラゴンクエスト』特有の青い空と緑の大地、それに冒険心をコンセプトにして、それを自分で描くならこうなるだろう、という発想から取り組みました。 本作は『オクトパストラベラー』と異なるアプローチにしないといけないことはわかっていましたし、伝統のある『DQ』作品であるという想いは大事にしました。私個人としても『DQIII』はRPGの入り口として衝撃を受けたタイトルであり、先にお話しした通り、いまでも『DQIII』のパッケージに描かれたイラストは最高にカッコイイと思っているので。 そこでいろいろ考えた末に、スーパーファミコン版のパッケージに描かれていたイラストをアイデアのもとにしました。スーパーファミコン版のパッケージは、前を見据えて片膝をついている勇者のイラストだったんですよね。そこで今回は、そのシーンの続きを描こうと決めました。 スーパーファミコン版のパッケージ。 生島: 実際にパッケージイラストを描くにあたって、当初は鳥山先生のディテールやエッジの立てかたと、自分が得意とする鉛筆のような、絵本らしいぬくもりを持つタッチを融合させた形で線を入れていったのですが、色をつける段階で「マントの色はもっと鮮やかな紫にしてほしい」という意見をもらったり、服の青色の彩度をアップしたりといろいろ試行錯誤を重ねた結果、完成に近づいていきました。 『オクトパストラベラー』のパッケージでは全体のタッチと色味を渋くして、踊り子が絵の中の華になる形で描いたのですが、『DQIII』の場合はゲーム画面から感じる色味などからもっと全体的にエネルギッシュであり、仲間たちと旅する冒険のワクワク感を添えるべきだと思い描きました。 私の中で、このイラストの話が来たときは、日の出前から山に登るときの気持ちになりました。まだ日は昇っていない暗闇だけど、山頂を目指す覚悟はある。何も見えないけれど、とにかく一本槍で突っ込んでいこう。そんな気持ちでやらせていただこうと覚悟しました。 鳥山先生は想像力やクリエイティブへの栄養を子どものころから与えてくださった心の先生だと思っていますので、本当に胸を借りる気持ちで描かせていただきました。 ――ゲーム画面も参考にされたのでしょうか? 生島: はい。実際に絵を描く前から、ゲーム画面は見せてもらっていました。ファミリーコンピュータ版では勇者とその仲間たちは画面外にいる自分なのだという気持ちでプレイしていたのですが、本作では勇者や仲間たちの後ろ姿がゲーム画面に映っている。これが衝撃だったんです。 そこで、今回のイラストを描くにあたって、立ち上がる勇者の後ろに仲間たちの姿も入れようと思って、バトル画面の印象を大事にして、構成、空気感も考慮してパーティのメンバーの姿も描きました。 生島: しかし、パッケージアートではより勇者を引き立てようという狙いもあり、結果として主人公のみの姿になりました。さらに、世界観や物語のつながりもあるので、 『DQI』と『DQII』のキャラクターをそこに加えたいとリクエストをいただき、歴代の主人公を思い浮かべた時に、胸の中で「そして、伝説は続いていく…」というメッセージが浮かんだので、その気持ちを込めて、連作としての空気感と構成がひらめき、あの1枚絵が完成しました。 ――そんな経緯があったんですね。最初から主人公たちが揃ったデザインで描かれたのかと思っていました。: 生島: じつは違うんです。ですが、歴史として主人公たちをつなげるような形で描いてみるというアイデアはすぐに受け入れていただきました。 早坂: 歴代の主人公が並んだイラストを初めて見たときは、さすがに鳥肌が立ちましたね。堀井さん、鳥山先生、そしてすぎやま先生といった偉大な先輩方が作ったものがまずあってこそ、「そこに我々が続いていくんだ!」という想いも重ねることができるような、手前味噌ながら本当にいいイラストだなと感じます。 ――生島さんは本作をプレイされたのですか? 生島: テストプレイはせずに、画面が変わっていく様を見ていました。イラストを描くときに「こういう場面を見せてほしい」とお願いして、インスピレーションを膨らませたこともあります。 映画と見間違うような映像表現のゲームが多い世の中になりましたが、私が浅野チームを志したのも、ファミリーコンピュータのゲーム画面にも感じていた箱庭的な世界観に通ずるものがあり、加えて絵本的なぬくもりが子どものころから大好きなので、『光の4戦士 -ファイナルファンタジー外伝-』や『ブレイブリーデフォルト』にとても惹かれたからです。 言葉にするのは難しいのですが、箱庭的な世界観にHD-2Dの空気感や光が乗ることで、その世界に入っていくというロマンのあるゲームプレイが見えたんですよね。 生島: それと同時にファミリーコンピュータで育った世代なので、「DQ」の俯瞰視点にもゲームらしさを感じていました。自分が好きなものが融合したタイトルが今回の 『DQIII』であり、小学生の自分に「おまえはこの作品に関われたんだ」と伝えられたら、すごく喜ぶと思います(笑)。 「DQ」が好き過ぎてグッズをたくさん持っていて、カンペンケースや給食のナプキンも「DQ」グッズにしていました。陶器製の“ばくだんいわ”の人形も持っていましたし、“王者の剣”の30センチ定規はいまでも使っているくらいで(笑)。子どものころの自分にとって、「DQ」グッズは金銀財宝だったんです。 ――アツいファンだったんですね。それがパッケージイラストを手掛けることになるという。 生島: 「DQ」は大好きだけど、ゲームはうまくなかったというのも何ですが……。ピラミッドの仕掛けで何回も失敗していましたから。グッズを持って小学校に通っていましたが、当時はみんながそうだった。鳥山先生のキャラが描かれたマグネットをカンペンケースの内側に貼っていましたから。 そんな憧れの人がイラストを描いていたゲームに携わることができたなんて、本当に信じられないですね。自分が描いたイラストが入ったティザー映像で“継がれゆく、ロトの意志。”というキャッチコピーを見たときに涙が止まりませんでした。もう鳥山先生の新たな絵が見られないことを感じましたし、鳥山先生の遺志を継がれる方々もたくさんいらっしゃるのですが、自分としてはこのイラストを鳥山先生にも見てほしかったな、という想いが溢れてしまったんです。 ――『DQIII』での体験についてちょっとだけお聞きしたいのですが、生島さんがファミリーコンピュータ版をクリアーしたときのパーティ編成は覚えていますか? 生島: 詳細は覚えてはいませんが、マインドとしては武闘家3人で進みたかった(笑)。さすがに転職したと思うのですが、やっぱり“会心の一撃”は武闘家で見たかったことを覚えています。ちなみにスーパーファミコン版では勇者、武闘家、武闘家、僧侶という構成にしました。 早坂: さすがに僧侶を入れたんですね。回復できないから(笑)。 生島: そこは学びました(笑)。武闘家も途中で賢者にも転職させたと思います。当時は武闘家へのこだわりを捨てないとちょっときびしかったですね(笑)。 ――いまでこそあたりまえですけど、あの転職システムはすごい仕組みですよね。究極のやり込み要素だったと思います。 早坂: そうですよね。もちろんいろいろな職業で楽しんでほしいという作り手の気持ちもあるのですが、本作でも自分の思い入れがあるパーティを組んでいただきたいですね。 ――早坂さんは相当テストプレイをされたと思うのですが、どのようなパーティ編成でプレイされたのですか?: 早坂: 私は飲食店でも基本的におすすめを選ぶタイプなので、“ゆせそま(勇者、戦士、僧侶、魔法使い)”です(笑)。これは冗談として、開発でテストプレイするときは、ベーシックなバランスで遊べるかどうかをチェックしないとならないので、ずっと“ゆせそま”でプレイしていました。いろいろな職業の組み合わせのバランスは開発チームでチェックして、私はいちばんベーシックと思われるパーティで遊んでも適切なバランスになっているかをチェックしていたので。 生島: “ゆせそま”は並んだときの色味が美しいんですよね。 早坂: デザイナーならではの視点ですね! 確かにそうかも。そういった経緯もあって、やはり“ゆせそま”に愛着があります。 新職業の“まもの使い”は強い!? 新たなやり込み要素も! ――ここからは新要素について。まずは“モンスター・バトルロード”誕生の経緯や、新職業の“まもの使い”についてお聞かせください。: 早坂: ファミリーコンピュータ版にあった“モンスター格闘場”は、モンスター・バトルロードに変わりました。その経緯ですが、コインを賭けるという要素があると海外ではレーティングが上がってしまうんですね。 それもあってモンスター格闘場を変えようと考えたのですが、なるべく近い形で楽しめるものがないか、と過去のタイトルを洗い出しまして。その結果、モンスター・バトルロードが生まれました。 早坂: さらに、フィールドがかなり広くなったので、マップに関して何か遊びを追加したいなと考えたところ、“ひみつの場所”や“キラキラ”が生まれました。 これらの要素に何かをつなげることで、さらに大きな遊びができないかと考えたときに、フィールド(ひみつの場所)に隠れた“はぐれモンスター”を保護してモンスター・バトルロードで戦わせるというアイデアが出てきたんです。それらをつなぎ合わせる要素として、新職業のまもの使いも生まれました。 ――それらの新要素すべてがつながっていたんですね。まもの使いの強さのバランスはどのように決めたのでしょう?: 早坂: せっかくの新職業が弱かったらみんながっかりしちゃうようね、というところから、戦闘でも役立って“はぐれモンスター”も保護しやすいという、特色のある新職業になりました。 モンスターの保護にまもの使いが必須というわけではありませんが、せっかくの新職業ならばプレイヤーがパーティに入れたくなるようにしようということで、堀井さんとも相談して、いまの仕様になりました。 ――新職業の追加は、わかりやすい新要素のひとつですから。 早坂: 歴代のリメイク作品でも、新要素としておなじみのものですしね。私たちとしても、そんな新職業をやはりパーティに入れてほしいなという思いがあって、それなりに強くなっています。 ――まもの使いには、保護したモンスターが増えると覚えていく特技もあるようですが、こういった特技は……ぶっちゃけ、強いのでしょうか? 早坂: 強いと思います。ストーリーを進めていくだけでもある程度の数のはぐれモンスターを保護できますが、もちろんそれだけではすべてを保護しきれません。なので、保護した数によって覚えられる特技は、がんばってはぐれモンスターを保護したプレイヤーへのごほうび的な強さにしています。 早坂: 時間帯によって出現するはぐれモンスターもいるので、すべてを保護しようと思ったら、まもの使いの“やせいのかん”も駆使しないと難しいかもしれません。ただ、その見返りとしての特技には期待していただきたいですね。 ――モンスター・バトルロードはメインストーリーとつながりはないのでしょうか?: 早坂: つながりはありません。あくまで寄り道のひとつですね。逆に言うと独立した要素なので、誰でも気軽に楽しめると思います。 ――オルテガの追加エピソードに関しては、ストーリーラインは堀井さんが考えたのでしょうか? 早坂: いえ、開発チームのほうでアイデアを出しました。 『DQIII』には有名なキャラクターがたくさんいますが、もうひとつ軸になるものがあるといいなと考えました。そこで、ファンの方が喜んでくれる、期待しているものは何かと考慮した結果、オルテガの旅路は気になるだろう、と。 早坂: オルテガの遺志を継いで主人公が旅に出る、というところから物語が始まるので、勇者の旅路を強くけん引する動線になると思いました。そこでオルテガのエピソードを加えたいと堀井さんに相談したところ、オーケーをいただいたという流れです。 ――戦闘中に使える特技の追加も、新要素のひとつです。ゲームバランスの調整が難しかったと思いますが、新鮮に楽しんでもらうための施策でもあるのでしょうか? 早坂: どちらかというと、最近の 『DQ』シリーズ作品と基準を揃えたという側面が大きいですね。職業は選択できるのに戦闘中に特技を使えないというのは、歴代のシリーズタイトルをプレイされてきた方々からすると「なんで?」となってしまうのではないかと思いました。 ――いままでのお話を聞いていると、本作は『DQIII』のリメイクという形ではありますが、しっかりと『DQ』シリーズの最新作になっているのですね。 早坂: そこはやはり意識しました。実際のところ、この時点における 『DQ』の最新作になるわけですから。 ――それでも原作で体験できたことは限りなく再現しているということですが、開発時点で原作の体験は残すと決めていたのですか? 早坂: 私の中では、ほぼ決めていました。あれだけの社会現象を起こしたタイトルですし、そもそもファミリーコンピュータ版の時点でおもしろさが完成しているんです。 なので、それほどゲームを変える必要はないだろうという観点もありましたし、私がリアルタイムで遊んでいた世代ではないので、そんな自分が『DQIII』を改変するべきではないと言いますか……。名作をなるべくそのまま触ってほしいという気持ちもありました。 ――たとえばファミリーコンピュータ版では“さとりのしょ”を複数入手することは難しかったのですが、そんな難しさも再現しているのですか? 早坂: 現代のゲームという視点でバランス調整を行っていて、原作に比べると多少簡単になっていますので、ふつうにゲームを進めていけば手に入ると思います。 ――遊び人はさとりのしょがなくても賢者に転職できましたが、本作でもそれは健在ですか? 早坂: もちろんです。じつに堀井さんらしい方法になっているので、楽しんでもらえると思います。 ――それは楽しみです。ここから気になるところをどんどんお聞きしていきます。キラキラではゴールドや装備品、種などいいものが拾えますね。: 早坂: キラキラでは、たくさんいいものを拾ってほしいと思っています。なので、寄り道しながら冒険したほうが結果的にスムーズに進められると思います。 ――ちなみに、一度取ったキラキラは時間経過で復活はしないのですか? 早坂: 復活はしません。キラキラを探れるのは一度だけです。 ――ファミリーコンピュータ版では金策に苦労した記憶があるので、キラキラは助かります。 早坂: 探索してキラキラでアイテムをしっかり拾っていけば、ゴールドには余裕が生まれるバランスになっています。ストーリーもある程度まで進むと、ゴールドに余裕ができると思いますよ。 ――やり込みコンテンツのようなものもあるのでしょうか? 早坂: もちろんありますが、くわしくは言えません! ――ファミリーコンピュータ版では、ちょっと無理をしてストーリーを進めることができましたよね。本作でも「サクッと“まほうのかぎ”を手に入れるか!」とあの場所へ急いで向かったら、そこで初めて全滅しました……。あれは新しい強敵ですよね? 早坂: 新しい強敵も登場します。難敵もいますが、すごく強いとか理不尽だということにはなっていません。しっかり育てて挑めば問題ないと思います。 ――なるほど。でも、初めて全滅して「ああ、ゴールドが半分に……」と思ったら、まさかのやり直し機能があって。 早坂: ファンには全滅すると所持金が半分になるシステムはおなじみですが、いまの若いプレイヤーにはそれがストレスになりかねないと思いました。なので、本作で初めて 『DQ』シリーズをプレイされる方も安心して遊べるように、やり直し機能を加えました。 ただ、これまでの『DQIII』の経験者には所持金が半分になることもよき思い出にはなっていると思うので、教会で所持金を半分にして復活させることもできます。これも、原作の体験をそのまま残すという意志のひとつですし、堀井さんも残してほしいとおっしゃっていました。 ――原作では船を入手後に自由度が高まり、好きなようにストーリーを進められました。今回はヒント機能もありますが、その自由度は残されていますか? 早坂: 推奨レベルや、「こういう流れで進めばスムーズに進めるよ」というヒントを提示することはありますが、船を手に入れたら自由に冒険できるというところは原作からそれほどバランスを変えてはいません。 早坂: たとえば、ポルトガを出港した後に灯台へ向かうことを勧められますが、そこを飛ばして進んでも問題なく遊べます。本作ではフィールドがかなり広くなっているので、迷ったらヒント機能のガイドに頼っていただければ。 ――原作では“らいじんのけん”のようなレア装備集めも楽しかったのですが、本作にもレア装備は用意されているのでしょうか? 早坂: 「この武器を取るためにがんばろう!」と思わせるものはあります。それこそモンスター・バトルロードでは上位ランクの報酬に強力な装備があるので、挑戦していただきたいですね。もちろん新しい武器や防具も用意してありますし、ほかのナンバリング作品から逆輸入させてもらった装備などもあります。 ――装備と言えば、イシスに“おおばさみ”が売っていなくて……。: 早坂: ショップ周りは金額なども調整が入っていますので、その一環ですね。ただ、ちゃんとゲーム内におおばさみは登場しますので、ご安心ください! 武器のドット絵も、過去の攻略本や別作品のビジュアルなどを参考にして表現しているので、楽しんでいただきたいです。おおばさみも、ぜひチェックしてほしい武器のひとつですから。ドット絵で言うと、武器や防具だけでなく、モンスターも追加されているので、そちらも楽しんでいただければと思います。 ――やはり本作は『DQ』シリーズへの入り口としてはすごくいい作品になっていますね。原作と最新のシリーズ作品をミックスしたハイブリッドでもありますから。: 早坂: 堀井さんも「いちばん遊びやすいから、最初にリメイクするなら 『DQIII』からやろう」とおっしゃっていました。本作を入り口にしてほしいという思いは強いです。 ――最後に、生島さんはファミリーコンピュータ版を遊び尽くしたプレイヤーとして、早坂さんは過去作を遊んだ方と本作で初めて遊ぶ方にメッセージをお願いします。 生島: 遊び尽くしたなんて偉そうなことは言えませんが、ワクワクした気持ちでイラストを描かせていただきました。往年のファンの方、新たな若きプレイヤーなど多くの人に遊んでいただきたいですね。 とくに小さなお子さんに『DQ』が届いてほしいとはずっと思っていたので、できるだけ広い世代、新しい世代に届いてほしいです。もちろん、往年の少年心を持った冒険者たちにも、楽しめるのは間違いありません。私も武闘家の活躍に期待して遊びます(笑)。 早坂: 原作を楽しんだ方にいちばん注目していただきたいのは、やはりHD-2Dのグラフィックです。当時、皆さんが頭の中で思い描いていた「きっとこうなのだろうな」というイメージが形になっていると思いますので、その想像の答え合わせのような感じで楽しんでみてください。ファミリーコンピュータ版から35年以上が経ち、HD-2D版となってどのように進化したのか、注目していただきたいと思います。 初めて『DQIII』に触れる方は、ファミリーコンピュータ版が出たのはかなり前であり、現行のプラットフォームで遊べるものも30年近く前の作品をベースにしたリメイク版ということで、なかなか手に取りにくいところがあったと思います。 そんな中で、本作はHD-2D版としてグラフィックも一新し、いろいろ遊びやすくなっています。36年前に社会現象を巻き起こしたタイトルがどれほどおもしろいゲームだったのか、ぜひ手に取って体験していただければうれしいですね。 ■週刊ファミ通(紙版)のご購入はこちら: ■電子版のご購入はこちら: