CAに内定の地方学生、交通費30万円以上かけて全国で面接 「都市部に住んでいれば」
憧れの職業に就くために、就職活動で全国を駆け巡る。そこで欠かせないのが、交通費や宿泊費です。関東の学生と地方の学生でその額は異なり、2024年卒では15000円以上の差があるという調査も。航空系の職業を目指し、宮崎県から各地に遠征した大学4年生の女性は、「面接に行くお金が必要でアルバイトをしていた」と話します。最終的には志望通り客室乗務員(CA)に内定しましたが、就活で使った交通費は少なくとも30万円以上だったそうです。(withnews編集部・河原夏季) 【画像】「就活あるある」 面接で〝大嘘〟「私の強みは責任感」
航空系を中心に30社にエントリー
「地方在住なので交通費、宿泊費がかかる。最終面接等での交通費補助は本当に助かります」 withnews編集部にこう意見を寄せてくれたのは、宮崎県に住む大学4年生の女性です。話を聞くと、地方の学生ならではの悩みがありました。 女性が就活を意識し始めたのは、2年生のころ。働く雰囲気をつかむために業界・職種は絞らず、県内企業など10社以上のインターンに参加しました。「世の中にはこんな会社があるんだと知ることができた」と話します。 本格的にエントリーを始めたのは、3年生の冬からでした。 中学生のころ、キャリア教育で羽田空港を訪れたことがきっかけで客室乗務員(CA)や空港グランドスタッフに興味を持っていた女性。インターンでほかの業種を見ましたが、最終的に憧れの航空系を中心に約30社にエントリーしました。 志望する企業のサイトを見て他社と比較したり、思考を整理する「マインドマップ」を書いたりしてエントリーシート(ES)や面接の準備をしていたそうです。 「ESや面接対策はいろいろありますが、私の場合たくさんの方法を見ても分からなくなるので、ひとつ試してみて自分に合うなと思ったらそのまま続けました。結果、ESや適性検査であまり落ちることはありませんでした」
北海道、東京、愛知、大阪、福岡、沖縄……
就きたい職種を絞っていたため、企業の所在地は問わず選考を受けました。 北海道、東京、愛知、大阪、福岡、沖縄……。飛行機やバスを利用し、面接のたびに主要都市へ向かったといいます。「北海道の新千歳空港は直行便がないので、羽田空港で乗り換えて行きました」 コロナ禍に多くの企業で導入されたオンライン面接ですが、2023年になると2次面接以降は対面になる企業がほとんどでした。 「最終面接だけは交通費の補助がある企業が多かったのですが、出ないところもありました」と話します。 比較的アクセスしやすい東京や大阪は、日帰りで面接に行っていたといいます。 費用のほかにも頭を悩ませたのは、面接日程の調整です。 「『書類試験に通ったので面接に来てください』とメールをいただいたあと、自分で面接時間を予約しなければいけません。アルバイト中で連絡を見るのが遅くなった場合、選択肢が少なくなっていて朝一にせざるを得ないこともありました」 そのような場合は、万が一交通機関に乱れがあっても面接に遅れないよう前泊していたといいます。 詳しい選考日程は事前に分からないため、テストやバイト、他社の面接と重なって辞退や調整をしたこともありました。 バイトとの調整が必要なときは、「面接に行くお金が必要でバイトしてるのにな……と思うこともあった」そうです。 女性は、「人一倍交通費がかかっているので、『元を取るために結果を出す』と思っていました。面接では地方から来ていることをアピールしました」と話します。