サスペンスと家族の物語が同時進行…坂東龍汰”美路人”の成長ぶりに目が離せないワケ。『ライオンの隠れ家』第4話考察レビュー
散りばめられた謎のピースたち
愛生の夫である祥吾(向井理)は、会議終わりにこっそりと家族写真を眺めていた。その顔からは感情を読み取ることができなかったが、遺体が愛生ではないというニュースを見たとき、表情を硬くしたように感じた。少なくとも、喜んだり安堵したりはしていなさそうだった。 まだ熱も下がらぬうちから、看病のために仕事を休んだ洸人に「お仕事行けなくなってごめんなさい」とライオンが謝っていたこと、また、以前寅吉が買ってきてくれたドリルを嬉しそうにやっていたことなどを踏まえると、やはりライオンは虐待かネグレクトを受けていたのだろう。それが祥吾からなのか、愛生からなのか、今回でわからなくなってきた。 そのほか、2015年の日付が刻まれた愛生と洸人たちの母が並んで映っていた写真、そしてライオンがトイレで読んでいたノートなど、気になるピースはまだまだたくさん散りばめられている。 とはいえ、いまのところライオンは安全なプライドにいる。看病や愛生の消息を追うべく奔走し、疲れて寝転がる洸人のお腹をトントンするライオン。そこに美路人も加わったのは、真似をしたというよりは、「泣いている」というライオンの言葉を聞いて、元気づけたいと思ったからだろう。ライオンの存在や寅吉の言葉、そしてイレギュラーばかりの生活のなかで、美路人は確実に成長している。 サスペンスと温かな家族の物語が同時に進行していく「ライオンの隠れ家」から、ますます目が離せない。 【著者プロフィール:あまのさき】 アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。
あまのさき